2014.01.12

川瀬巴水展

「忙しい、忙しい」と言いながらもお正月休みに千葉市美の川瀬巴水展を見に行ってきました。

どちらかというと風景画が好きなCosなので、
「浮世絵とは違う日本の木版画の風景」というところに惹かれて内からはちょっと遠いけれど行ってきました。
これは巡回展なので、しばらく待てば横浜高島屋や日本橋高島屋でもやるけれど、どうせ見るならやっぱり千葉市立美術館のあの雰囲気の中で見るのがいいかな。
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 初期のものは浮世絵の景色だけを取り出した感じもするけれど、時代とともに雰囲気が変わってきている。
日本の各地を回って名所旧跡などの絵が多いんだけど、いわゆる観光案内の絵画版に当たるのかもしれない。
しかし、木版画ならではのやわらかさと色遣いが景色の(たとえ雪が降っていても)暖かさを感じさせてくれる。

 実のところ、日本の各地を描いたというイメージだけを持っていたので、そんなには期待していなかったのに実際には予想以上に時間をかけてじっくりと見てきてしまった。

 そして、そんな日本各地の絵を見ていたら、「この風景は実際にはどうなんだろう、見てみたい」と思ってしまうほどの宣伝効果も実感してきてしまった。これは今の生活が忙しすぎるからばかりではないだろうと思うけれど・・・どうかな。


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2013.12.31

2013美術展ベスト

 今年一年を振り返って、印象に残った美術展など。

 1 まず何といっても、9月に行った十和田現代美術館。
十和田の街はかなり寂れてきていてシャッターの閉まった店などもたくさんあってちょっとさびしいんだけれど、弧の美術館があるところはそこここにアートがあって、そこここで子供たちが遊んでいたりして、明るく華やかな雰囲気になっていた。ロン・ミュエクのスタンディング・ウーマンをはじめとして常設がとてもよかった。

 2 仙台まで会いに行ってきた、「若冲が来てくれました」
会場は仙台市博物館ということで展示の仕方もちょっと変わっていたので、それはそれで面白かったし、じっくり見ることのできたモザイクみたいな「鳥獣花木図屏風」を心行くまで見ることができてとてもうれしかった。

 3 「ターナー展」イギリスで見てきてとてもよかったのであまり期待していなかったんだけど、見ていなかった絵もあったし、イギリスで見たターナーの世界をもう一度体験できてとてもうれしかった。昔は好きじゃなかったんだけどな。

 4 これも期待してなかったんだけど、かなり良かった「印象派を超えて---点描の画家たち」。彼らは全然別の糸で点描をしていたんだけど、点描って子どものころから、カラーテレビの原理と同じような感じで、とても面白いと思っていた。小学校の時、絵の具を混ぜてありとあらゆる緑(のつもり)で絵を書いたら先生に馬鹿にされたけど・・・そのころから点で塗り分けることに関心があったのだ。

 5 えっ、こんな絵も描いているのかとびっくりしたのが「ル・コルビュジエと20世紀美術」。建築だけしか知らなかったんだけど、絵を見たら納得できる部分もあったりして面白かった。

 6 美術展じゃないけれど、「深海」。知識としては知っていることのほうが多かったけれど、実物大のダイオウイカは海の不思議さを伝えてくれた。

 7 「カイユボット展ー都市の印象派」感想は書けなかったけれど、彼の描く人物はとても静かに行動している。決して大騒ぎをしたり怒鳴ったりはしない。人物画は好きじゃないんだけれど、彼の描く人物はとても静かに主張していて、押しつけがましいところがなくていい。

 8 「牧野邦夫-写実の精髄」写実なんだけど、写実ではない何かがあって引き込まれた。


 9 「クリムト展」クリムトがそんなに沢山はないのは分かっていたけれど、どうしても見に行かずにいられなかった。

 10 青森美術館。行ったときには横尾忠則展をやっていて常設が少なかった。シャガールの舞台背景とあおもり犬たとてもよかったし、奈良さんの部屋もよかったけれど、常設がたくさんあるときにまた行きたい。(行けるといいなぁ)

ここにあげなかった美術展もかなりあるから、blogにかく余裕はあまりなかったけれど、それなりにあちこち行っていたのかもしれない。
でも来年はもう少し書けるといいなぁ


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2013.09.23

青森県立美術館

 今回の旅行の目的の一つが「あおもり犬」に会いに行くことだった。
できれば帽子をかぶった「あおもり犬」が見たかったけれど、青森に行くこと自体大変なのに、真冬の青森はちょっと条件がきつすぎる。
いつかは行ってみたいと思っているけれど。

「三連休切符」の広告を見た瞬間に思い浮かんだのが「青森に行く」だったぐらい。

 念願かなっての新青森の駅で降りるとまっすぐ「ねぶたん号」乗り場へ。青森市のルートバスで10分ほどで着くという。バスが来さえすれば青森県立美術館まですぐなのだ。

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 丁度今の企画は

横尾忠則の「昭和NIPPON」-反復・連鎖・転移横尾忠則の「昭和NIPPON」-反復・連鎖・転移

吉村作治のエジプトと古代文明展~太陽の船と七大文明~(これは企画展ではなくイベントらしい)

 さすがにエジプトや古代文明は見る気がしなかったけれど、横尾忠則は(このために青森に行こうとは思わないまでも)ぜひ見たい企画だったので、見ることにした。

 美術館に入るとすぐに大きな部屋。そこにはシャガールの描いたバレエ「アレコ」の3枚の背景画。舞台の背景だからとんでもなく大きい。天井の高い(美術館サイズというのだろうか、都現美の天井の高い部屋ぐらい、壁の白いのも一緒だな)ひろい部屋にかけられているので大きさからくる圧迫感はない。部屋の中央に置いてある肘掛け椅子(足に車輪がついているらしく動く)にどっしりと座りながら見るようにできていた。美術館に着いた時がもう3時だったので、時間が気になってあまりのんびりはできなかったけれど、シャガールらしい夢のある暖かな絵は来た人を歓迎しているかのようでいつまでも見ていたかった。

 その部屋の先にあった「横尾忠則展」。Twitterで見たのかもしれないが、量の多いのは覚悟していたけれど、見ても見ても終わらない感じさえしてくるほどの多さ。
幸いなことにそのうちの多くは知っているものだったからそれだけで閉館時間になるという恐れはなかったけれど、見覚えのないものも多く、思わず立ち止まって見てしまうものもいくつか。
行っても行っても終わらない作品。とうとう棟方志功展示室にまで横尾忠則が進出・・・

そのおかげですっかり常設が少なくなってしまっていたのが残念。

 でも奈良さんのニューソウルハウスとか、その中の犬とか、窓の外のあおもり犬とかあったし、成田亨さんのウルトラマンとその怪獣たちの原画も楽しかった。棟方志功の「柵」にまつわる作品シリーズもちょっと視点がいつも見るものとは違っていて楽しかった。
しかし、それしかなかったのが本当に残念。
もっといろんなものを持っているし・・・でもまあ、東京で見るチャンスもあるだろうから、よしとしよう。

 最後に一旦美術館の外に出て、外をぐるっと回って階段を上って思いっきり降りて両側が高い壁になっている細い通路を通り抜けた先にある「あおもり犬」に面会。
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 でもこの子は何をこんなに憂いているんだろう。奈良さんの描く女の子の鋭いナイフの切っ先のような目と対照的にこの目は何か深く悲しんでいるかのようにも見える。

そこに意味づけをするのは見る側の人間だろうから、その時々によってたぶん思うことも違うんだろうな。

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下から見上げてみると、なんだか大仏様を見上げているのと同じような感じがしてきた。いろいろと考えてしまったからそう見えるのか、それともそういう表情なのか・・・・

あっというまに時間が過ぎても4時半になってしまった。

 隣にある三内丸山遺跡にも行くつもりだったけれど、閉館は5時だろうからもう物理的に無理だろうなと思い、大きな荷物を預けてあった総合案内で、明日の三内丸山遺跡のオープンの時間を尋ねてみるとなんと今日も6時まで開館しているというではないか。しかも青森駅まで行くバスの時間まで調べてくれて、ぎりぎりに出るバスもあることが判明。

 まだ間に合うではないか、1時間あればかなり見ることができるからとりあえず行ってみよう。

 この時の館員さんのおかげで、三内丸山遺跡ではとてもいいことがあったのだけど、それはまたこの次の話。

 しかも、ぎりぎりまでいたおかげで帰りは薄暗くなり、

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帰りのバスの中からではあるけれど、一番見たかった外観・・・・青森になっている青森県立美術館も見ることができたのだ。

 ありがとうございました。


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十和田現代美術館

昨夜泊まった盛岡からふたたび新幹線に乗って七戸十和田へ。ここからバスに乗って十和田現代美術館に行くのだ。
 ところがせっかく早起きして頑張っていったのに、乗るつもりだったバスは「祝祭日運休」。次のバスは1時間近くたたないと来ないのだ。新幹線も1時間に一本とか2時間に一本だからここでのんびり1時間。

 やっと来たバスに乗って、十和田現代美術館へ。

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チェ・ジョンファの「フラワーホース」とポール・モリソンの「オクリア」と奈良美智さんの・・・なんだろう?タイトルを取るのを忘れた。

 ここは館内の常設の写真は取ることができなかったけれど、外にある作品や今回の企画展である奥入瀬芸術祭の作品は取ることができた。

 ここは何といっても常設がいい。今回企画展との兼ね合いで、見ることのできなかったジェニファー・スタインカンプのラプンツェルを除いては全部見てきたけれど、写真のないものの中で一番よかったのはリアルな巨大なおばあちゃん像である「スタンディング・ウーマン」だろうか。
 サイズが巨大なだけではなく、そのリアルさがかなりぶきみ。なにしろ、普通の人形は見ている人とちゃんとは目が合わないようになっているのに、これはしっかり目が合うのだ。
「ちょっとあんたぁ」という感じでぎろっとにらまれるのだから。

屋内の展示で一番気に入ったのはスゥ・ドーホーの「コーズ・アンド・エフェクト」天井から下がっているたくさんのビーズのようなものが実はすべて人間であり、それぞれが肩車をしてつながっている。一番上が現在というわけなんだろうな。

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企画展では宮永愛子の「そらみみみそら」は東京でも見たけれど、これはやっぱり夢が広がっていい。見るのはその時だけだけど、時間の経過による変化を想うことのできる作品。
写真はその一部。全体を取るとお皿の中が見えないので。


 屋内の展示は有料だけど外の展示は無料の上に誰もがそこで遊べる。
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この写真では彌生ちゃんがよく見えないけれど、「愛はとこしえ、十和田でうたう」
たくさんの子供たちや大人たちが楽しそうに遊んでいた。

ここは本当に楽しくいいものがたくさんあって充実した時間を過ごすことができた・・・・交通の便を除いては。

 

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2013.07.02

一角獣が好き

子どものころから一角獣にはあこがれてきた。馬はもちろん好きだけど、それ以上にユニコーンにはあこがれ続けてきた。
それがなかったらたぶん見に行かなかっただろうと思う「貴婦人と一角獣」を国立新美術館に見に行ってきた。
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会期は2013年7月15日(月)まで。

この絵の中にいるいろんな動物や植物、そしてもちろんユニコーンは面白かったけれど、Cosにとっては何もタペストリーである必要は全くなかった。なんだか織物にすることによって絵の緻密さが失われてしまうような気がしてならないのだ。
 もちろん、織物、工芸品としてはとても面白いのだけれど、織物だからこそ表現できない部分がたくさんあるような気がする。そうした部分まで見られないのがなんとなく欲求不満だったのかも。

そして、描かれているそのものではなく、どうしてこんなにタペストリーを何枚もかけたんだろうかとか、これを壁にかけたのはどんな部屋で、どんなふうに使われていたんだろうかとか、(ここには描かれていないけれど)このライオンの描き方は今とは全く違う面白さがあって、メアリーポピンズに出てくるライオンの置物と同じスタイルだなぁとか、そんなことばかり考えてしまった。

そして、色の境界線をぼかすかはっきり見せるかによって違う織物の織り方がとても面白くて、くっきりと描くときにはスリットができる織り方をしているというのが気になり、まじまじと織り目を見たけれど、ちょっと見ただけでは分からないとか・・・そんなことも考えながら「五感」+「我がが唯一の望み」というタイトルやそれぞれのライオンの表情を楽しく見てきた。

ユニコーンは・・・う~ん・・・Cosの好きなユニコーンよりもどこか知性に欠けるところがある感じで擬人化されている分おもしろかった。

とはいえ、後になって考えると絵自体もかなり記憶に残っており、やっぱり面白い絵だったのかもしれない。


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2013.05.05

クリムトに会いに

連休の一日、宇都宮までクリムトに会いに行ってきました。わざわざ宇都宮まで行く価値があるかどうかということになるとかなり疑問だけれど、行かなければ間違いなく「行けばよかった」と後悔するのが分かっているから行ったというのが正しいところかも。
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全く期待しないで行ったせいか、逆に思っていたよりもいろんな発見ができておもしろかったかもしれない。
大きなパネル展示がいくつもあったうえに、「ストックれ―・フリーズ」のパネルには裏返しになっているものもあったけれど、メインでない部分にどんなふうに描かれていたのかをじっくり見ることができたのは収穫かな。

でも、パネルはパネル、実際のものをますます見たくなってしまった。
いつか時間に余裕ができたらのんびりと見に行ってきたいなぁ・・・

この写真の「黄金の騎士」も足元のヘビや背景の塗り方などもおもしろかったし、馬のおなかの下だけ大きめの花が咲いているのはどうしてだろうと考えてみたりして楽しかった。また、マクシミリアン・レンツの「一つの世界 一つの人生」は幻影の女性たちの何も考えていない純心さと男性の彼女たちを直視しようとはせずに歩き去ろうとする姿の対比がとても面白かった。

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森の中にある宇都宮美術館はとても気持ちがよくて、窓の外の林の中には小鳥たちがすぐそばまでやってくるし、これが家から近ければもう言うことはないのだが…・残念なことに行きも帰りも渋滞の中を走ったのだった。

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2013.03.19

ルーベンス、バロックの神髄

東京渋谷のBunkamuraで行われた「ルーベンス展 ブロガ―・スペシャルナイト」に参加してきました。
ルーベンスといえば「フランダースの犬」と反応が返ってくるくらいフランダースの犬が有名なんだけれど、Cosにとっても子どもの頃、フランダースの犬を読んで「ルーベンス」という名前を知ったのだった。

死ぬ前に一度だけ見たいというほどの絵ってどんなすごい絵だろうかとと思っていたのにそのモデルとなったアントワーヌ大聖堂の「キリスト降架」の写真を見たときには「えっ、こんな絵だったの?」とかなりがっかりしたのをはっきり覚えている。
子ども心にいったいどんな絵を期待していたのか、自分でもよくわからないけれど、ずいぶんと長い間もやもやとしたものが残っていた。

そんなルーベンスの作品とじっくり向き合うことのできるというのでかなり前から楽しみにしていたので、ブロガ―・スペシャルナイトと聞いて一も二もなく参加を決めてしまった。
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Bunkamuraのチーフキュレーターの宮澤政男さんとTBSのアナウンサーの小林悠さんの座談会は展示室内。当然のことながら飲食禁止の展示室内だからお二人とも1時間にわたって水も飲めずなかなか大変だったご様子。
お二人の後ろに映っているのは日本初公開となった「復活のキリスト」、その向こうは「アッシジの聖フランチェスコ」

この復活のキリストは堂々とした肉体を持っていて、Cosの持っているキリストのイメージとはずいぶんと異なっている。だけど、キリストということにこだわらなければ、強い意志・・・鉄の意志だろうか・・・を示している男の姿は力強さと冷静さを持っていて「復活」という言葉にはふさわしい気がする。さらに左上のほうのあどけない天使の姿も現世とは別の次元からやってきて現世に対峙していかなければならない男を祝福しているかのようにも見える。
たぶん、この辺のところがなんか違う感じがする部分なんだろうな。

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だからこうした「ロムルスとレムスの発見」だとすごくすんなり入ってくるのかもしれない。
これは日本初公開なのだそうだけれど、宮澤政男さんはこれの版画をオークションで買ったのだという。それほど気に行っていた作品が日本に来たからかとても楽しそうにこの絵のことを語っていた。
主人公の子供たちが大きく描かれていることや絵の中心があいていて、見る人は絵に描かれたものを潤に見ていくことになるという話はとても興味深かった。
確かに子供からスタートしてぐるっと左回りに視線が回っていくのが自分でもわかる。
狼に育てられた子供、川の精、子どもたちを発見した羊飼い、そしてきつつき。ストーリーの通りに見ていくことになる。
そして、図録などでははっきりしないけれど、実際の絵を見るとそこには魚が泳いでいたりカニがいたりするのも原画ならではの楽しみ方なのだそうだ。
この子供の生き生きとした愛らしい表情はこののちルノアールなどにも受け継がれていくのだという(この絵でそういう説明があったかどうかは覚えてないけれど)
そんな所も見比べてみると面白いのかもしれない。
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(左側が「眠る二人の子供たち」右が「天使からパンと水を受け取る予言者エリア」


この宮澤さんが持っていたりする版画はこの時代にはどんな絵なのか人に知らしめるためにはとても重要な役割をしていた。だからなのか、ルーベンスは版画家たちにかなり細かく注文をつけていたのだそうだ。
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この版画がそうだったかどうかは分からないけれど、「ソドムを去るロトとその家族」の版画を見たときにはなんだか嬉しくなってしまった。でも・・・できれば原画と並べてみることができればその時代の人たちが版画を見て原画を思うときの気持ちがもう少しわかったのかもしれない。


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(右が「キリスト降架」左が「キリストの磔刑」)

人々は版画を見て「どんな絵なんだろう?」とイメージを膨らませ、最終的にはお金を払ってその絵を見せてもらう。お金のない人たちは版画を見てあれこれ考えるだけで満足しなければならないけれど、ネロは版画を見たからこそ原画を見たかったのかもしれないなぁ・・・そう考えると子どものころからの疑問がかなり解消されたような気がする。
私たちも「キリスト降架」の版画を見て、アントワープ大聖堂に思いをはせよう。

いつの日にか原画を見に行きたいものだけれど・・・・そんな日は来るかなぁ・・・?

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2013.02.17

クラークコレクションと三菱一号館美術館

「#クラコレ」・・・・「奇跡のクラーク・コレクション」三菱一号館美術館で2013年5月26日(日)まで開催中・・・
のブロガ―内覧会に行ってきました。

日本からはなかなか行くのが大変な米国マサチューセッツ州ウィリアムズタウンというところにあるクラークコレクション、えりすぐりの逸品が日本に来たというのはクラーク美術館が建て替え中という「いま」でなければありえないし、この作品を見るチャンスはウィリアムズタウンという空港から離れた場所まで見に行かない限りもう二度とない。

こう聞くと「今がチャンス、今しかありませんよ、急いであなたも行きましょう」という宣伝のようにも聞こえてしまうし、実際に見る前には(Cosが)名前もよく知らない美術館の作品なので、いいものがいくつかあればいいなぁ・・・なんて思っていた。

が、実際に会場に行ってみると、チラシなどで見ていた作品がとてもいい作品なのは確かだけれど、それ以上に(Cosにとっては)素晴らしい作品が目白押しなのである。

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会場に入ると最初に出迎えてくれるのが何枚ものコロー。風景画の好きなCosはここでまず足が止まってしまった。いちばん右が「ルイーズ・アンデュアン」「ホッロメーオ諸島の浴女たち」「水辺の道」「柳林の洗濯女たち」かな。華やかなルノアールではなくコローが出迎えてくれるというのは気持ちが落ち着いてとてもいい。
美術展に行くと、先にはもっといい絵が待っているんだからとさっさと進みたくなるけれど、ここでのんびり・・・・と言いたくなってきてしまう。(実際には時間に余裕があったので一通り見てからここに戻ったんだけど)

さらに進んでいくと、次のコーナーは風景画。ブロガ―内覧会なので会場の写真を撮ることができたのにもかかわらず、興奮してピンボケばかり。
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でも、モネの「エトルタの断崖」の絵はこんな写真とは比較にならないほど良かったし、光があたっている岩の輝きは本物を見ないとわからない気がする。左側はモネの「ジヴェルニーの春」右は「小川のガチョウ」かな?
同じ部屋にはルノアールの風景画「シャトゥの橋」があって、これもルノアールらしい色遣いと際立った柔らかさがとても素晴らしかった。

ルノアールの作品は22点ということだけれど、今まで知っているルノアールとはまた違った絵も少なくなくてとても面白かった。
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ルノアールの作品で今回新たなルノアールを発見したのはこの右側の「玉ねぎ」・・・すごくおいしそうだしみずみずしい。真ん中のルノアールのリンゴに比べてもそのみずみずしさが際立っている。
たぶんこんなにおいしそうな玉ねぎを見たのははじめてかも。
写真ではよくわからないと思うけれど、いちばん左はシスレーの「籠のリンゴとブドウ」数少ないシスレーの静物画だけれど、これはこれで今まで見たことがないシスレーでとてもよかった。(でも玉ねぎのほうがおいしそうだったのだ…玉ねぎはそんなに好きじゃないんだけど)

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そして、ルノアールらしい淡さというよりは華やかさに満ちている「シャクヤク」もまた、生き生きと咲き誇る花のみずみずしさが伝わってくる。

左側のベルト・モリゾの「ダリア」もまた、「シャクヤク」の隣だからこそ華やかさがひき立たないけれど、とてもいい作品だった。
たぶん「シャクヤク」よりもこっちのほうが好きかも知れないと思うほど長い間前に立っていたなぁ・・・

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さすが、三菱一号館と感じたのはここ「ドガの部屋」。ドガの自画像が向こうの壁の踊り子たちを眺めている。でも踊り子たちは次第にドアのほうに向かっていて、もう少しするとこのドアから出て行ってしまうだろう・・・・それを見つめるドガの表情にはなんだか寂しげなものが感じられないだろうか。

そのほかにも三菱一号館ならではの展示として、
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こんな風に暖炉の上にかけられた絵がある。これはピンボケになってしまったけれど、アルフレッド・ステヴァンスの「公爵夫人(青いドレス)」真っ赤な壁の色とぶつかることなく、ソファーでもあったらのんびりと絵とワインを楽しみたくなるようなとてもいい雰囲気だったし、この写真ではとてもわからないと思うけれど、この絵もじっくりと見るのに値するとてもいい絵だった。

ブロガ―内覧会での見学時間は限られていて、心行くまで見てきたわけではないし、もう一度見たい絵もたくさんある。
Sterling and Francine Clark Art Instituteのページに行くといくつものコレクションを見ることができるけれど、やっぱりそれは実物じゃないからなぁ・・・・
せめて日本にいる間にもう一回見てこよう。

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2013.02.11

父をめぐる旅 中村正義の生涯

よみうりランドの近くに小さな「中村正義の美術館」がある。春と秋しか開館していない静かな住宅街の中にある美術館。

豊かな才能を持ち、同じ人が描いたのかと疑いたくなるほどいろいろな日本画を描き続けた中村正義の娘さんが守っている美術館で、Cosが行った時にも娘さんがいらした。

彼女が父親の足跡をたどる旅をするという映画が、東京都写真美術館(1・27まで)や川崎アートセンター(少なくとも2月一杯やっていそう)で上映されている。
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中村正義という人がどんな人だったのか、「黒い舞妓」という不思議な絵を描いた人・・・反骨の画家といわれるけれど、どんな絵を描いてきた人だったのか・・・公開前からとても見たいと思っていた映画だった。

22歳で日展に入選し、36歳で審査員になったものの、その運営や体質に対して反旗を翻し、日本の美術界から外れたところで絵を描き続けたという。

映画は娘が父の足跡をたどるというよりも中村正義のその絵と生涯を娘の目を通じて語るというほうがふさわしいような気がしたけれど、どこまでも「日展」に代表される権力にこびることなく自分の絵を貫き通した彼の姿がしっかり伝わってくる。

中でも、日本の美術界が牛耳っていると思われる銀座三越の画廊で開かれた個展、そしてそこに出された作品は彼の意気込みがどれほどのものであったのかが伝わってくる。

決して抽象的でない、正統派(じゃないかと思える)日本画の風景画を出品し、すぐに売れてしまったのだという。映画の中にあらわれたその絵を見たとき、「速水御舟の再来」と言われた理由がとてもよくわかった気がする。

権力になびくことなく最後まで自分自身を貫き通した彼の姿が伝わってくるとてもいい映画だった。

でも・・・彼の家族は大変だっただろうなぁ・・・

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2013.02.04

見上げる エル・グレコ

エル・グレコ展(東京都美術館 2013年4月7日(日)まで)に行ってきました。
人間を描いたものは必ずしも好きではないのですが、ふだん、西洋美術館で見慣れているエルグレコが来たというので、喜んでいってきた。

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会場の中に入ると会期が始まったばかりとはいえそれなりの人がいるにもかかわらず、なんだか不思議な空気が流れている。
普段美術展に行ったときに感じる「これを見に来たんだ!」という気迫やざわめきがなく、まるで教会にいるかのような・・・・ミサをやっているのではなく観光客に公開されてはいるけれど、それ以上に荘厳な雰囲気が優位を占めていて教会の厳粛さが保たれている・・・感じがしてくる。

何よりもまず彼の描いた絵がその雰囲気を作り出しているんだけれど、それにプラスされているのが会場の雰囲気なんだろうなぁ・・

縦に引き伸ばされたような人物は、下から見上げるように描かれているのだという。
しゃがみ込んでみてみたけれど、やはりこれには讃美歌と高い天井がふさわしいとおもった。
讃美歌とステンドグラス越しの光の中では天に上っていくかのように見えるんじゃないだろうか。

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受胎告知の絵は天使から「ビビビッ」と光線が発射されていて、劇画調なのだ。
なんとなくこの雰囲気、宗教は違うけれど五百羅漢と共通しているかも…
光線の出し方はこっちのほうがやわらかいかなぁ

「聖マルティヌスと乞食」(この絵は台湾から)の乞食を見ると服を着ていないという以外はいい男で乞食といういうイメージは全くない。聖マルティヌスだっていい男だけどあんまり聖人には見えないし…別なものをイメージして描いたんじゃないだろうか・・・とか・・・

などなど、不謹慎なことを思ったりもしたけれど、教会で讃美歌を聞きながら見るのが一番ふさわしいようなグレコの作品がほとんどだった。

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