伝統の朝顔
今年も佐倉の国立歴史民俗博物館くらしの植物苑へあさがおを見に行ってきました。
朝顔は朝でないといい花が見られないんだけれど、丁度この日は雨・・・
普段なら花を見に行きたくはない天気だけれど、そのおかげで遅い時間まで咲いていてくれるのだ。もちろん雨が激しいと、戸外にある花は雨に打たれて見る影もないけれど、東屋や温室(暖かくはないけれど)にある花をゆっくりと楽しめる。
江戸時代に交配をさせて楽しんだという変化朝顔はふつうのものに比べて花がつくのが遅いので、あまり早く見に行っても「これがあさがお?」とおもえるような不思議な花もあまりなかったりもする。
写真に取ると花の色は変わってしまう。この花の色は何色に見えるだろうか?
本当はもっとくすんだグレーに近いような色で「葡萄鼠」と呼ばれる色らしい。
こうしたグレーや茶の入った色は朝顔(に限らず普通の花でも)には珍しい色。華やかではないけれど、なんとなく江戸の渋い情緒を感じさせる色でもある。
茶、栗皮茶、濃茶・・・微妙な色の違いを江戸の人々が表した言葉。和色と呼ばれる色にはしっとりとした色が多い。そんな色の世界が朝顔の中にも待っているのだ。
この変化朝顔は変化してしまうと種が取れないので、変化した個体を出した同じ親からとった種を育ててその中から変化しやすいものを探していく(なんか表現が変)ことで変種をつくり出していくのだが、時として予想もしていなかった変化が現れることがある。
こうやって思った花でない花・・これは「変」と書いてあるので、(変じゃなくて)変化したということなんだろうと思う。
これはおしべとめしべがありそうだから種が取れそうなので、そこから育てていけば同じ華が咲くものが出てくるかもしれない。
その確率はおそらくかなり低いだろうけれど。
めしべやおしべが変化してしまうと当然種がつかないから、そうした品種を増やしていくのは難しい。何十本に一本、何百本に一本の割合でしか変化しないものも多い。
しかも種が取れないから、毎年同じ事を繰り返して行かないと品種が消えてしまう。
ここに展示してあるものの何倍もの苗を育てているのである。
その努力の積み重ねによって、一時は消えてしまったと思われた品種が生き残っている。
消えてしまったものも多いだろうけれど・・・・
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