2011.06.26

カレル・ゼマン展

チェコのアニメーションといえば、条件反射のように「イジー・トルンカ」とか「ヤン・シュヴァンクマイエル」の名前が出てくるけれど、カレル・ゼマン展には「もうひとりの」と付いているので、どんなものなのか見に行きたかった。

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渋谷の松涛美術館で2011年7月24日まで。

「見たかった」のはもちろんアニメーション。
展示室ではいくつかのアニメーションとメイキングがあるけれど、やっぱり折角のチャンスだから長編を見てみたいと思っていた。

さすがに長編は一日に二本しかやらないので、時間を合わせていくことになるのはちょっと面倒。

会場についたらまだ時間があったので、展示室のぬいぐるみのアニメーション「クリスマスの夢」をみる。
これは人形を使ったアニメーションと実写を切り替えている作品。
邪険にされる人形が普段使うような可愛さとは違うけれど、何処か健気で可愛い。
クリスマスにもっときれいな素敵な人形をもらった少女が、この味のある可愛さはあるけれど、決して素敵ではない今までの人形を「ぽいっ」とほうりだす。
そこで、人形は自分をアピールしようとあれやこれやとやってみせるのだが・・・

人形の良さを満喫させてくれる作品。
白黒だし、CGを使ったものと違って洗練されているという感じはしないけれど、暖かくてほのぼのする。

「プロコウク氏 映画製作の巻」も人形劇と思ってみていると映画館の劇中劇になったりして楽しい。

この日Cosが見たのは長編の特撮映画、「悪魔の発明」
特撮と言っても絵と実写やアニメーションを組み合わせて作ってあるのだから今の映画からみれば技術的には子供だましなんだろうと思うけれど、それはそれでとても面白かった。

ただ・・・・映写しているのが二階ののロビー。
それだけなら特に問題はないけれど、クッションこそ悪くないものの、長時間座っていると結構辛いソファか丸椅子しかおいてないのだ。
最初見始めたときには観客が10人ぐらいいたと思うのだが、終わってみたらその場に残っていたのは3人だけ。
最期まで見ていたCosもすっかり疲れてしまった。
面白い映画だけにちょっと残念だった。

長編はもう一本残っているんだけど、・・・見たいけれど疲れそうだなぁ・・・

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2008.07.21

実線主義

ある程度の出来は期待していたけれど、どうしても見たいというほどではなかったのだが、この一言で「見たい」と思った。

asahi.com(朝日新聞社):「ポニョとの約束守り、子どもを祝福」宮崎駿監督が語る - 文化.

「ほら、この水平線なんて、いびつな鉛筆書きの線をそのまま残してある。今回、スタッフの間で、我々は“実線主義”を貫く、なんて言い合いました。従来の日本アニメなら髪だけ動かしていたものを、顔全体を一コマ一コマ手で書いていった。すると、今まで感じられなかった息づかいのようなものが生まれたんです」

この「一つ一つを人の手で描いた」という柔らかさは今のところどうやってもCGでは表現できない(だろうと思う)。
前の記事のムットーニの人形も、一つ一つムットーニさんの手作りだから彼の人間性がそこには出ているからこそ人形が生きている。

大量生産のリカちゃんなどには決して表れない表情がそこにはある。

この映画にももしかしたらそれがあるのかもしれない。

CGは否定しないし、Cos自身だってコンピュータを使って作ったものを使って授業をしていたりする。
そこには手で描き得ない正確さと細かさが存在する。
それはそれですばらしいことだし、Cosが子どものころにはありえなかったことだ。
コンピュータを使うことで数学のあり方も変わりつつある。

が、今のところそこにあるのは「厳密さ」であっていろいろな思いのこもった感情ではない。
絵や写真にはその人の人となりが写し出されるけれど、今のところグラフにはそういうものは感じられない。
(グラフをどう組み合わせて何を表現するかで想いのこもったグラフなんていうのもありそうだけど・・・)

そうした「想い」が表現されているアニメであるのなら、どうしても見てみたい。

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