与謝蕪村の楽しい時間
今日は以前からの知り合いのグループと一緒に府中美術館へ。
今年の「春の江戸絵画まつり」テーマ「ぎこちない」を芸術にした画家「与謝蕪村」。
今までだって、何度となく見てきた与謝蕪村だけれど、すごい絵を描くという印象はなく、「うまいけど、そこそこいい絵」を描く人だという程度の認識しかなかった(もちろん、Cosに基礎教養がないからそう思うのであって、一つ一つの絵をじっくり見たことがないということ)
このポスターにかかれている作品はどれもかわいい系の絵で「すごいなぁ」という感想は出てこない。餅つきをしているウサギは単純な線で描かれているのに、どうしてこんなにかわいいんだろう?このウサギはこの展覧会の「顔」なのだそうだ。他の絵の賛だけど「春の海、終日のたりのたりかな」という蕪村の句にもふさわしいウサギのように感じる。
実際にはこのウサギは夏の暑さの中、いくばくか涼しくなった夜のうちに臼で麦(だったと思う。持ちではなかった気がする)を打っているというところで、決してのんびりとした雰囲気の絵ではなかったのだが、このウサギの表情はこちらにのんびりしたものを感じさせる。展覧会の言う「ぎこちなさ」なのだろう。
それに引き換え、この絵はほんわかしたというよりもきっちりとえがかれていて、たぶん絵としての完成度は高いのだろう。本物と見比べないと何とも言えないけれど、これは一応重要文化財。これはあくまで写真にとることができた看板だけど、これ以外にも何枚もの真剣に描かれた絵が展示されていて、それはさすがにそれなりの出来栄え。
国宝の宣夏図(十宣帳から)などもそんな一枚だけど、よくよく見るとそこにある小屋の中の人物はどこかほんわかしている。この差が蕪村の面白いところなんだろうと思った。この人も「終日のたりのたり」タイプ。こうやって一枚の絵の中に二つの描き方をした部分が混じっていると、どう評価していいのかわからない。それがこの美術展のサブタイトル「ぎこちない」につながるのかもしれない。緊張感のある絵の中に一点ふっと気の抜けるところがあることで絵の世界がふわっと広がるような感じかもしれない。
与謝蕪村を堪能した後、いっしょにいったメンバーでサイゼリアへ。ご時世ということもあって、二つのテーブルに分かれて座り、「他のテーブルとは話をしないでください」といわれたけれど、不良老年がそんなことを守るはずもない。Cosだって、生徒がいなければ平気。一緒に行ったなかにはサイゼリア初体験の方もいて、(こんな所へ行くのか?)という感じだったけれど、マグナムの白ワインを飲み、次から次へとみんなが注文するテーブルに乗りきらない料理に目を丸くし、すごくおいしいというほどではなかったけれど、コストパフォーマンスが最高の料理を次々に口にして、最後の会計では金額の安さに驚いていたのはご愛敬。
というわけで一年以上ぶりに楽しい食事会をすることができた。これでまたしばらくはこうしたことはできなくなるんだろうけれど、こういう時間はまたほしいなぁ
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