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2020.01.03

夜の東博

 「博物館で初もうで」というキャッチコピーにつられるからだろうか、お正月の東博はとても混んでいる。確かにお正月ならではのイベントがあったりもするし、いいものをあれこれ展示もしている。あそこまで混んでいなければ、ぜひ行きたいと思うのだが、あの混雑の中に身を置くのはごめんだ。

 ところが、今年は1月3日が金曜日。「夜間開館だからそんなに混んでないかも」という友達の言葉に乗せられて、ついふらふらと東博の夜間開館へ。

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 それなりに人はいるけれど、昼間の混雑に比べたらたいしたことはない。当然だけど、獅子舞も、和太鼓もないけれど、いい雰囲気。

 本館の中に入ると突然「今なら待ち時間はありません」の声。あれ?なんか特別展をやってたかなぁと思いながら言われるがままになかに入ってみると・・・中にはこんなものが。


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どこか見覚えがある。世事に疎いCosでもたぶんニュースで見たものだろう。特別公開の「高御座と御帳台」展。そういえばどこかで一般公開されると聞いた気がする。わざわざ見に行きたいとは思わないし、Cosには縁のない世界の話だから気にもしていなかったそれが目の前にド~ンと現れたのだ。せっかく目の前にあるのに見ないのはもったいないし、何よりも歴史と日本の工芸の極意が集まっている(のかもしれない)と思ったので、ちょっとじっくり見ることにした。

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 高御座のてっぺんについている鳥のようなもの。鳳凰だろうか?正面から見ると結構かわいいイメージ。と言っても会場では高さもあるしはっきり見えるほどは近くない。(パンフレットを見たら、大鳳(たいほう)とあった。 御帳台の上にあるのは鸞(らん)という瑞鳥だそうだ)

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御帳台の中の椅子の両側にある机のようなもの。ひじ掛けではなさそうだけど、カバーがかかっているのかこういう作りなのか??と思って、もらってきたパンフレットを見ると、剣璽(けんじ)と国璽および御璽を置く案(台)ということだった。 

  なんとなく今回の即位に合わせて作られたような気がしていたのだが、大正天皇のときに作られたもので、普段は京都御所に置いてあるのだそうだ。見た限りではきれいに磨きこまれていて、大正時代の作品とはとても思えなかった。とはいうものの、今の時代に作ろうとすればまた違ったイメージになるんだろうな。

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こんな衣装を身に着けていたらしいけれど、一瞬、クレージュかと思ってしまいそうな柄。よく見るともっとずっと凝った柄で、作るのも大変だったろうと思われる。

 ということで、予定外だった特別展は終わらせて、本館のお散歩。

最初の仏像のところでは室生寺の仏像が何体も来ていて、写真不可。

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なんとなくユーモラスな顔をした不動明王立像。11世紀の作品だそうだけど、目元が気になってじっくり眺めてみると 

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なんとウインクしているではないか。今にも語りだしそうで楽しい。

 

 そして今日の最大の目的の一つ、がこれ。

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ネズミ年なので、ネズミを楽しんだり、今まで何度も見てきたもの、初めて見るものを楽しんだ夜でした。

 

 

 

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年の初めの近代美術館

近代美術館工芸館の後は本館へ。

タダなのは常設展だけなので、そちらへ。

企画展にはゾロゾロと人が入っていくけど、常設展はもともと空間も広いし、いつもと変わらず、のんびりと鑑賞。

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中村正義の源平海戦絵巻。5枚全部が展示されているのは初めて見たかも。

好きなのかどうかと聞かれると好きじゃないんだけどじっくりと見てしまう一枚。

 

じっくりと見て回った後、来年のように出会った友とはお昼を食べてお別れ。相変わらず忙しい人だった。

 

 

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年の初めに

 今年も元日は例年のごとく墓参りならぬ墓掃除。

去年の後半は、雨が多かったり、土日が毎週のように忙しかったりでほとんど掃除に来ていなかったこともあって、草ぼうぼう・・・

今年こそはもう少し手入れをしようと思ったけれど、1月もほとんど週末は埋まっている・・・困ったなぁ

 

2日も例年のように国立近代美術館と工芸館からスタート。この2館は1月2日は常設が無料なのだ。

工芸館は現在の「パッション20」(2019.12.20~2020.3.8)を最後に石川県に移転してしまうからか、いいものが多かった。工芸館は建物は古いけれど、人は多くなく、のんびりと作品を楽しむことのできるオアシスだったけれど、金沢に引っ越してしまえばそんなに遊びに行くことができなくなる。期間中にもう一度行ってきたい。

 

香川勝弘 銀製彫刻 美濃亀の彫刻

お正月だからまず私たちを出迎えるのはこの亀と鶴の壺(こっちは写真を撮らなかった)。藻のようなしっぽが付いたカメはそれだけで年齢を感じさせる。静かに時を過ごしてきたカメがそこの静かな空間を作っている。

 




この2枚は同じ作者が作ったもので、左が工芸館にあったもの、右が本館にあった作品。どちらも同じ手法で作られているのだろうけれど、どちらも表面にはたくさんのひびというよりは模様が入っていて、不思議な感じがする。

蜜のようなというガラスの作品。固い硝子だとわかっていてもねっとりとした滑らかさが伝わってくる。

側面の木の色と上側に描かれた木の幹の色は微妙に違っている。違っているからこそ、一体感があっておもしろい。

小名木陽一 赤い手袋

写真を見る遠くの方の人の大きさを見るとどれほどこの手袋が巨大かがわかってくる。これだけ大きいのに、恐怖を感じさせたり、違和感を感じさせたりはしない。

12の鷹。1893年の作品。鷹の生き生きとした姿が今にも羽ばたきそうな印象を与える。

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四谷シモン。先日彼の個展があったらしいが、見そこねてしまった。残念。

 

見ていると時間の流れも少し変わってくるような気がする。時間も場所も超越した作品たちが並んでいる。

これが身近な場所から消えてしまうのはとても残念だけれど、伝統工芸ということになると東京よりは金沢のほうがふさわしい気もしてくる。

あちらに引っ越したらいつか見に行こう。

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