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2019.01.26

絵画の行方2019

 東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館で20191月12日~2月17日まで行われている「絵画のゆくえ2019 FACE受賞作家展」の内覧会に行ってきた。

FACEは損保ジャパン日本興亜美術館で2013年から行われている公募コンクールで、審査をした本江邦衛先生から、審査員の方たちは名前、性別、年齢などは一切知らされないまま、絵だけを見て判断するとのお話を伺った。

 それが実感できたのは2017年の優秀賞を取った石橋暢之さんの作品を見た時だったかもしれない。

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 これが優秀賞を取った「ジオラマのような風景」、緻密に緻密にボールペンで描かれたこの絵は確かに今風の描き方とはちょっと違っているようにも見える。
 彼は1944年生まれ、そして最初にとった賞が2014年国展での入選。70歳になるまで描き続けたのだろうけれど、この絵のどこにも年齢を感じさせるものはない。強いて言えばさっきも書いたように描き方が今風ではない感じはするけれど、彼のち密さはまた、Cosの好きな佐藤学と共通したものを持っている。

 正直なところ、彼があと30年描き続けることができるかどうかはかなりの疑問だし、審査員が彼の経歴などを知っていたらまた違う結果が出てきた可能性もありそうな気がする。
 

 もともとこうした「今」の絵を見るのは「これから」がどうなっていくのか、今の時代にどんな景色が広がっているのかを見るのが楽しみだったけれど、今回は正に「今」あるいは「昨日」を見たような気がした。
 2016年から2018年までのグランプリと優秀賞の受賞者の作品がそれぞれ何点かずつ展示されていて、受賞作だけでなく、いろいろな作品を見ることで全部が同じような印象しか受けないものや、一つ一つの絵の中にいくつもの方向性が見えるものなどがあって、その人の人となりが垣間見えたり、揺れ動く気持ちが見えたりしてとても面白かった。

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                  遠藤美香 「宙返り」

 中に入ってまず目につくのがこの大きな白黒の絵・・・と思っていたのだが、実はこれは木版画なのだ。あまりの大きさと鮮明さにてっきり絵だと思ったのだが、そういわれて蕎麦によってじっくり見ると確かに黒が柔らかい。その柔らかさがこの絵の雰囲気になっていて、きりっと描いているようでいながらどこか柔らかい感じがする。グランプリをとった作品は「水仙」という作品でこれとは違っているのだけれど、私にはこっちのほうが広がりがあって好きかもしれない。

 そしてその奥に入ると、

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 この写真からはわからないけれど、かなり暗くされた部屋にまず目につくのがこの顔たち。

 唐仁原希さんの「ママの声が聞こえる」(写真の方が唐仁原さん。絵のイメージとは違って明るい方)。

 彼女の描く絵はもう一種類違った感じのたとえば「ここにいたいから」

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といった種類のものもある。ちょっと見ると何の変哲もないかのように見えるけれど、じっくり見るとどこか不気味なのが共通しているかな。

 ご本人からお話を伺うことができたのだけれど、彼女の展示スペースを暗くして、どちらかというと上のほうに絵を展示することで、昔のヨーロッパでの展示の雰囲気を出したかったとのこと。たしかに不思議などこかミスマッチしているかのような空間だった。


 そして、どこがいいのか自分でもよくわからないけれど、目が離せなくなったのが、

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FACE2018グランプリの仙石裕美の「それが来るたびに跳ぶ、降り立つ地面は飛ぶ前のそれとは異なっている」。

どこがいいのかよくわからないけれど、見たとたんに目が離せなくなった一枚。少女を描いた赤の色にひかれてしまうのかもしれない。同じような色遣いの

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「水の国の入り口」。水着の無機質さがとてもいい。このまま上がってこないかもしれない世界が描かれている気がした。

ほかの作品ももちろん賞を取るだけのことはあって、面白いものが多かった。「今」そして「これから」を垣間見てきた気がする。





 



 


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