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2017.11.09

川合玉堂展 -四季・人々・自然ー

 先日、山種美術館の「【特別展】没後60年記念 川合玉堂 -四季・人々・自然ー」 展の内覧会に行ってきました。この記事の写真は全て許可を受けて撮影したものです。

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             この写真は会場の入り口。川合玉堂作 「春風春水」(山種美術館所蔵)をパネルにしたもの。

まさにサブタイトルにある「四季・人々・自然」を描いている一枚。このパネルと実際に絵を比較するのも面白かった。こうやって写真で見るとそんなに変わらない気がするけれど、実際にはやわらかさや暖かさが違っていたような気がする。
 たぶん、表装の有無や種類によっても感じ方が違うんだろうな。

 川合玉堂は自然を描いた作品を得意としていたという。自然が大好きなCosにとっては大好きな一人。奥多摩の御岳にある「玉堂美術館」は何度かドライブしていったことがある。比較的小さな美術館なので、「堪能した」というには展示してある絵が少ないのだが、今回は山種美術館でじっくりと楽しむことができてとてもよかった。


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                     川合玉堂作「猿」 山種美術館

 玉堂は猿を好んで描いたという。写生した作品などもあるけれど、この猿の表情には猿に対するやさしさに満ちているような気がする。下の猿はがけを登り、上の猿はそれを見ているが、この表情からは見守っているかのようにも見える。向こうの山までは遠く、広々とした空間が広がっていることを感じさせる。昭和30-31年ごろの作ということだから、奥多摩だろうか、下は谷川なのかなぁなどと見えていない部分にも景色が広がってくる。

 

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                   川合玉堂 紅白梅 玉堂美術館

 

 尾形光琳の「紅白梅図屏風」(MOA美術館)をはじめとする琳派を強く意識した作品なのだそうだが、幹のたらしこみなど画風を真似ているのかもしれないけれど、この生き生きとした植物らしさ(というのかな?)は自然を愛する玉堂ならではの感じもしている。この写真では分からないけれど、シジュウカラの姿も愛らしい。この作品は山種美術館のオリジナル和菓子の「東風(こち)」にもなっている。「紅白梅」をモチーフにしたこしあんのあっさりした甘さのお菓子。

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              特別展に合せたオリジナル特製和菓子。左の奥が「東風」


左手前が千寿(せんじゅ)といってつがいの鶴のモチーフ。夫婦円満を象徴する絵だそうだけれど、中が黄緑色の柚子あんでとてもおいしかった。中央が黒砂糖風味の大島あんの里の秋。どれも絵を見終わった後、のんびりゆっくりと優雅にいただきたいお菓子たち。優雅にする時間がどこかで取れればどんなにいいか・・・

 結局のところ、時間をゆったり使うことのできないCosはせめて絵だけでもゆったりと見たいといつも思うのだけど、結局時間に追われてしまって貧しい時間の使い方に終始してしまうのだが・・・

 

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                  川合玉堂 早乙女 山種美術館

 気を取り直して、Cosが「田植え」とか「早乙女」とかといわれた瞬間に脳裏に浮かぶのはこの絵。

 年中行事の民俗学の授業の中で、旧暦の4月8日に山の神が下に下りてきて里で他の髪になる。そのときに早乙女が田植えをして・・・という話しだったときにもこの絵が脳裏に浮かんだ。

 戦争のさなかに描かれたこの絵は玉堂の戦争に対する考え方をはっきりと示している。彼は戦争中でも戦争を賛美する絵は描かず、文部省戦時特別美術展にも直接的な絵は出品しなかった。

 

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                   川合玉堂 荒海 山種美術館 

 この荒海は玉堂71歳のときの作品で文部省戦時特別美術展に出品したもの。戦争という激動の時代に何を思って描いたのだろう。

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                  川合玉堂 水声雨声 山種美術館

 静かな静かな水の音だけが聞こえてくるこの作品は同じように自然を描いたコローと共通したものがあるような気がする。玉堂はコローのような光を描いているわけではないので、それが何なのかはよく分からない。描かれている二人の農婦も口を開かずに仕事に向かっているのだろうか。

 たぶん、玉堂の自然とこの静けさが好きなんだろうな。

 

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                  川合玉堂 松上双鶴 山種美術館

 玉堂が山種美術館の創立者山﨑種二の長女の結婚祝いに贈った作品。上のほうに写真のある和菓子の千寿となった作品。松の上に2羽の鶴がいるという縁起のいい伝統的な吉祥の画題なのだそうだ。

 明治学院大学の山下祐二先生の見所の紹介の中で、川合玉堂が橋本雅邦の元で作風や画法を学んだ「白雲紅樹」(東京藝術大学大学美術館)と川合玉堂の「渓山秋趣」(山種美術館)を比較した。

 雅邦の絵は中国の絵の影響が大きいけれど、玉堂の絵になるとそこここに日本らしさが漂ってくる。

 川端龍子、川合玉堂、横山大観の3人が山崎種二が希望して行われた「松竹梅展」の話を聞くと、この前の特別展が川端龍子で、次が川合玉堂、そして次回の特別展が横山大観(2018年1月3日(水)~2月25日(日) 山種美術館)というのも納得できる気がする。残念ながら川端龍子の時にはいけなかったけれど、横山大観の時には親交と違いについてみてくるのも面白いかもしれない。




 




 

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