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2013.02.17

クラークコレクションと三菱一号館美術館

「#クラコレ」・・・・「奇跡のクラーク・コレクション」三菱一号館美術館で2013年5月26日(日)まで開催中・・・
のブロガ―内覧会に行ってきました。

日本からはなかなか行くのが大変な米国マサチューセッツ州ウィリアムズタウンというところにあるクラークコレクション、えりすぐりの逸品が日本に来たというのはクラーク美術館が建て替え中という「いま」でなければありえないし、この作品を見るチャンスはウィリアムズタウンという空港から離れた場所まで見に行かない限りもう二度とない。

こう聞くと「今がチャンス、今しかありませんよ、急いであなたも行きましょう」という宣伝のようにも聞こえてしまうし、実際に見る前には(Cosが)名前もよく知らない美術館の作品なので、いいものがいくつかあればいいなぁ・・・なんて思っていた。

が、実際に会場に行ってみると、チラシなどで見ていた作品がとてもいい作品なのは確かだけれど、それ以上に(Cosにとっては)素晴らしい作品が目白押しなのである。

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会場に入ると最初に出迎えてくれるのが何枚ものコロー。風景画の好きなCosはここでまず足が止まってしまった。いちばん右が「ルイーズ・アンデュアン」「ホッロメーオ諸島の浴女たち」「水辺の道」「柳林の洗濯女たち」かな。華やかなルノアールではなくコローが出迎えてくれるというのは気持ちが落ち着いてとてもいい。
美術展に行くと、先にはもっといい絵が待っているんだからとさっさと進みたくなるけれど、ここでのんびり・・・・と言いたくなってきてしまう。(実際には時間に余裕があったので一通り見てからここに戻ったんだけど)

さらに進んでいくと、次のコーナーは風景画。ブロガ―内覧会なので会場の写真を撮ることができたのにもかかわらず、興奮してピンボケばかり。
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でも、モネの「エトルタの断崖」の絵はこんな写真とは比較にならないほど良かったし、光があたっている岩の輝きは本物を見ないとわからない気がする。左側はモネの「ジヴェルニーの春」右は「小川のガチョウ」かな?
同じ部屋にはルノアールの風景画「シャトゥの橋」があって、これもルノアールらしい色遣いと際立った柔らかさがとても素晴らしかった。

ルノアールの作品は22点ということだけれど、今まで知っているルノアールとはまた違った絵も少なくなくてとても面白かった。
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ルノアールの作品で今回新たなルノアールを発見したのはこの右側の「玉ねぎ」・・・すごくおいしそうだしみずみずしい。真ん中のルノアールのリンゴに比べてもそのみずみずしさが際立っている。
たぶんこんなにおいしそうな玉ねぎを見たのははじめてかも。
写真ではよくわからないと思うけれど、いちばん左はシスレーの「籠のリンゴとブドウ」数少ないシスレーの静物画だけれど、これはこれで今まで見たことがないシスレーでとてもよかった。(でも玉ねぎのほうがおいしそうだったのだ…玉ねぎはそんなに好きじゃないんだけど)

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そして、ルノアールらしい淡さというよりは華やかさに満ちている「シャクヤク」もまた、生き生きと咲き誇る花のみずみずしさが伝わってくる。

左側のベルト・モリゾの「ダリア」もまた、「シャクヤク」の隣だからこそ華やかさがひき立たないけれど、とてもいい作品だった。
たぶん「シャクヤク」よりもこっちのほうが好きかも知れないと思うほど長い間前に立っていたなぁ・・・

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さすが、三菱一号館と感じたのはここ「ドガの部屋」。ドガの自画像が向こうの壁の踊り子たちを眺めている。でも踊り子たちは次第にドアのほうに向かっていて、もう少しするとこのドアから出て行ってしまうだろう・・・・それを見つめるドガの表情にはなんだか寂しげなものが感じられないだろうか。

そのほかにも三菱一号館ならではの展示として、
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こんな風に暖炉の上にかけられた絵がある。これはピンボケになってしまったけれど、アルフレッド・ステヴァンスの「公爵夫人(青いドレス)」真っ赤な壁の色とぶつかることなく、ソファーでもあったらのんびりと絵とワインを楽しみたくなるようなとてもいい雰囲気だったし、この写真ではとてもわからないと思うけれど、この絵もじっくりと見るのに値するとてもいい絵だった。

ブロガ―内覧会での見学時間は限られていて、心行くまで見てきたわけではないし、もう一度見たい絵もたくさんある。
Sterling and Francine Clark Art Instituteのページに行くといくつものコレクションを見ることができるけれど、やっぱりそれは実物じゃないからなぁ・・・・
せめて日本にいる間にもう一回見てこよう。

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2013.02.11

父をめぐる旅 中村正義の生涯

よみうりランドの近くに小さな「中村正義の美術館」がある。春と秋しか開館していない静かな住宅街の中にある美術館。

豊かな才能を持ち、同じ人が描いたのかと疑いたくなるほどいろいろな日本画を描き続けた中村正義の娘さんが守っている美術館で、Cosが行った時にも娘さんがいらした。

彼女が父親の足跡をたどる旅をするという映画が、東京都写真美術館(1・27まで)や川崎アートセンター(少なくとも2月一杯やっていそう)で上映されている。
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中村正義という人がどんな人だったのか、「黒い舞妓」という不思議な絵を描いた人・・・反骨の画家といわれるけれど、どんな絵を描いてきた人だったのか・・・公開前からとても見たいと思っていた映画だった。

22歳で日展に入選し、36歳で審査員になったものの、その運営や体質に対して反旗を翻し、日本の美術界から外れたところで絵を描き続けたという。

映画は娘が父の足跡をたどるというよりも中村正義のその絵と生涯を娘の目を通じて語るというほうがふさわしいような気がしたけれど、どこまでも「日展」に代表される権力にこびることなく自分の絵を貫き通した彼の姿がしっかり伝わってくる。

中でも、日本の美術界が牛耳っていると思われる銀座三越の画廊で開かれた個展、そしてそこに出された作品は彼の意気込みがどれほどのものであったのかが伝わってくる。

決して抽象的でない、正統派(じゃないかと思える)日本画の風景画を出品し、すぐに売れてしまったのだという。映画の中にあらわれたその絵を見たとき、「速水御舟の再来」と言われた理由がとてもよくわかった気がする。

権力になびくことなく最後まで自分自身を貫き通した彼の姿が伝わってくるとてもいい映画だった。

でも・・・彼の家族は大変だっただろうなぁ・・・

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2013.02.04

見上げる エル・グレコ

エル・グレコ展(東京都美術館 2013年4月7日(日)まで)に行ってきました。
人間を描いたものは必ずしも好きではないのですが、ふだん、西洋美術館で見慣れているエルグレコが来たというので、喜んでいってきた。

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会場の中に入ると会期が始まったばかりとはいえそれなりの人がいるにもかかわらず、なんだか不思議な空気が流れている。
普段美術展に行ったときに感じる「これを見に来たんだ!」という気迫やざわめきがなく、まるで教会にいるかのような・・・・ミサをやっているのではなく観光客に公開されてはいるけれど、それ以上に荘厳な雰囲気が優位を占めていて教会の厳粛さが保たれている・・・感じがしてくる。

何よりもまず彼の描いた絵がその雰囲気を作り出しているんだけれど、それにプラスされているのが会場の雰囲気なんだろうなぁ・・

縦に引き伸ばされたような人物は、下から見上げるように描かれているのだという。
しゃがみ込んでみてみたけれど、やはりこれには讃美歌と高い天井がふさわしいとおもった。
讃美歌とステンドグラス越しの光の中では天に上っていくかのように見えるんじゃないだろうか。

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受胎告知の絵は天使から「ビビビッ」と光線が発射されていて、劇画調なのだ。
なんとなくこの雰囲気、宗教は違うけれど五百羅漢と共通しているかも…
光線の出し方はこっちのほうがやわらかいかなぁ

「聖マルティヌスと乞食」(この絵は台湾から)の乞食を見ると服を着ていないという以外はいい男で乞食といういうイメージは全くない。聖マルティヌスだっていい男だけどあんまり聖人には見えないし…別なものをイメージして描いたんじゃないだろうか・・・とか・・・

などなど、不謹慎なことを思ったりもしたけれど、教会で讃美歌を聞きながら見るのが一番ふさわしいようなグレコの作品がほとんどだった。

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2013.02.03

DOMANI・明日展2013

DOMANI・明日展(2013/1/13~2/3)を見てきました。今回は池田学さんが出るというので何が何でも見ようとは思っていましたが、会期が短いのでかなりの強行軍になってしまいました。

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このチラシの左側が池田学さん、見れば見るほど楽しくて、あっという間に時間が過ぎてしまいます。思考そのものを絵に積み重ねていった感じで、一枚書くのに膨大な時間がかかるとのこと。この一枚の絵の中にどれほどのものが見えてくるかもまた楽しみでした。
会場の一番最後にあったのですが、ここをじっくり見たら予定していたもう一つの展示を見る時間がなくなってしまいました(泣)
やっぱりいくら見ても見あきない良さがありました。

このチラシの右側の作品は小尾修さんのもの。彼の作品はホキ美術館で見ていいなぁと思ったのを覚えています。執拗に一人の女性を描いていたような気もしますがどうだったかなぁ…

今回の展示は何人かの作家が「写真可」にしています。正直なところblogに書くにあたっては写真があるかないかでずいぶんと表現に差が出てくるのでとてもありがたいです。

もちろん、Cosのへたくそな写真よりも実物のほうがずっといいのは間違いないので、その分はプラスしてくださいね。

その中で2回ショックを受けたのが、青野千穂さんの作品
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なんだかどろどろとした液体が滴り落ちているような雰囲気のクッション?
滴り落ちているのか這い登っているのかはわからないけれど、かたい無生物と絡み合う有機体みたいな感じですごく面白いと思った。
この発想だけでも面白いのに近くに寄ってみて気がついた。これは布なんかじゃない。
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写真を見てわかるだろうか?じつはこれ、一見布のように見えるけれど、セラミック製。
(ブランコが無機物かどうかは別として)無機物+無機物だったのだ。
それがそう見えないところがいいところなのか残念なところかはわからないけれど、アニメーションの一こまを見るかのような不思議な空間になってしました。


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糸井潤さんの写真もどこかから光が差し込んでいて、ちょっとコローの絵と共通しているものもあるかのように感じられました。コローは対象物にだけ光があたっていたけれど、糸井さんのは光自体を対象にしている感じかな。

曽根裕さんもハイウェイジャンクションなどを出していたけれど、これは写真なし。これもやはり見れば見るほど面白い作品なんだけどなぁ・・・


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