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2013.01.06

高山辰夫・奥田元宋展

生誕100周年ということで同じ年に生まれた二人の日本画家を特集していた山種美術館に行ってきた。
20130106_001

どこで見たのかは覚えてない(山種で見たんだろうな)けれど、ここにも出ている「聖家族Ⅲ」が何んとなく印象に残っていて、このチラシに惹かれてふらふらと・・・・

この「聖家族Ⅲ」は群録絵の具を焼いて作ったという黒群録という絵の具で描かれていて、制作当初はモノクロだったという。たぶん、チラシの絵はその当時のものを再現しているのだと思う。

この黒群録という黒は描き方によるのかもしれないけれど、とてもやわらかい感じのする黒で人と人のやわらかい関係が伝わってくる感じ。
そして、今はモノクロではなく、周囲が淡い茶色の色で塗られているように見える。茶色が見えているのは間違いないんだけれど、茶色として塗られた色じゃなく経年変化によって色が表出したのだという。
辰砂絵具をほぼ透明に近く溶いて人物の周囲に塗ったのだ。塗られた当初は色がなかったけれど時間とともに色が出てきたのだ。
そしてそのことを本人も承知の上であったのだそうだ。

日本画に限らずどんな絵でも描かれた時のものと時間がたった時のものでは変化してくるし、中にはその変化自体を作品の一部に繰りこんでいるものもあるけれど、日本画でこんな風に変化するのは・・・たぶん・・・珍しいんだろうな。

うつりゆく心の中を託して描いたような感じもする。金の絹地に月の銀とはんこの赤以外は墨で描かれた「中秋」なんかも心の中を描いているような感じ。

これに対して奥田元宋の作品はやはり自分の心を投影しているんだけれど、その投影している相手は自然。その分心の中というよりも景色に対する思い入れみたいな感じがする。

どちらかというとこっちのほうが好みかな。少なくとも人間よりも自然のほうが好きだし。

チラシにある奥入瀬の秋もいいけれど、元宋の赤と呼ばれるほど多彩な赤で描かれた「玄溟」(何て読むんだろう??)の赤がとてもよかった。赤が好きだしねぇ・・・・
夕日に映える山紅葉かな。

「自然をしっかり観察して描くけれど、そのままではなく心に映ったものも描く」ということなので、実際の景色とは違っている部分も多いんだろうけれど、彼の目を通して見た自然をこちらもじっくりと楽しませてもらった。

この二人の作品だけじゃなく半分以上が文展、帝展、日展なんかの作品だったんだけど、やっぱり今回印象に残ったのはこの二人と第2室に展示してあった東山魁夷。
画面を斜めに仕切ってある春静はいつ見ても好きだなぁ

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