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2012.07.29

アラブ・エクスプレス展

「アラブ」と聞くと戦争、あるいは紛争というイメージが最初に浮かんでくる。産油国とか、イスラムとか、ベールとかといった言葉はその後から追いかけるように浮かんできて、最後はアラビアンナイトで落ち着く。

森美術館で2012年10月28日まで行われている「アラブ・エクスプレス展」はまた違ったアラブが見られるのではないかと随分前から楽しみにしていた。

アラブの現代美術P1090958

作者たちにとって「アラブ」という言葉でひとくくりにされるのはきっと意にそぐわないだろうなぁと思いつつ、それでも意識しなくても共通項を見つけようしながら見てきたような気がする。

そして、否定しようとするまいと戦争の大きな影の影響を受けた(基本的には)男性が描いているという印象を受けた。

一番面白かったのはこれ。

サーディク・クワイシュ・アル・フラージー 《私の父が建てた家(昔むかし)》
一室の壁いっぱいに描かれた人の形と両親の写真と壁にかけられたスーツ。

これは爆撃のあと父の家に残っていたものだという。

P1090965

この上に彼は黒く描かれたアニメーション・・・ちょっとケントリッジに似ている感じかも・・・が流れていく。
たぶん、彼が住んでいた頃の過去の思い出が流れていくんだと思うけれど・・・平和なアニメーション。

P1090966

こうしたアニメーションが終わったあと再びスーツと写真と巨大な人型だけが残る。
動くことのないこうしたものは過去と現在をつなぐものなんだろう。
映像として映し出すしかない過去・・・爆撃はなかったけれど、今の日本でも同じような場所がある。

そして、マハ・ムスタファの 《ブラック・ファウンテン》

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製油所が爆破されて燃え上がり、その火が続いている間に雨が降ると、こんな黒い雨が降ったのだという。
窓の向こうには平和な六本木の街が広がり、白い部屋の中で吹き上げている黒い水はすこしずつ床にも飛び散り、真っ白な床も灰色に染めている。彼等のところには言葉通り黒い雨が降ったのだ。
前にどこかで見たインクの噴水とも似たような発想かもしれないけれど、意味するところはずっと重い。

P1090974


こうやって見てみると印象に残っているのは戦争、紛争の影を色濃く残しているもの。
それが当たり前の日常の中に埋め込まているのがアラブなのかもしれないなぁ・・・・

実際にはそれは現象としてはアラブだけのことなのかもしれないけれど、意味としては等しく世界中が抱えているのであり、平和そうに見える日本だって・・・・実は同じように目には見えない黒い雨が降り・・・Cosたちを取り巻く気象も次第に荒々しくなってきている。

そうした状況の中でCosたちが未来に向かって語るべきことはこれだけなのかもしれない。

P1090995

アーデル・アービディーンの《アイム・ソーリー》

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2012.07.06

日本橋展

東京江戸博物館で2012年7月16日まで開催されている「描かれたランドマークの400年・・・日本橋」を見てきました。

小学校の頃、「江戸時代は五街道の起点であり、日本の商業の中心でもあった日本橋」と習ったような気がするけれど、三越と高島屋があるという以外にはほとんど関心を持たずに育ってきたのだ。

日本橋の歴史なども殆ど知らなかったので、絵を楽しむと言うよりは「日本橋」という場所について、色々と見てきた気がする。

浮世絵を見る以前にまず「えっ、」となったのが日本橋の魚河岸。
よく考えれば不思議はないんだけれど、今の日本橋を考えるととても想像が出来ない。
そしてそれがまた、人々で賑わう江戸の中心地でもあった(?)とは・・
この魚河岸も含めた日本橋を描くときの3点セットが魚河岸と富士山と江戸城というのもなんとなくピンとこない。
多分Cosの頭の中には今のビルがいっぱい立ち並ぶ場所が日本橋であって、それが過去の日本橋につながっているというのが感覚的に理解できないんだろうな。

江戸城が見える木造の橋だった日本橋は明治の終わりに石の橋に架け替えられるとなんとなく馴染みのある橋に見えてくる。
そして、川にかかった橋としてではなく、街としての日本橋が浮き上がってくると、Cosの知っている日本橋のイメージにつながってくる。

かつては川に面していることで交通の要所としてさかえ、そこから五街道がのび、物流が水上から陸上へと映るに連れて、「橋」としてではなく、「街」としての商業の中心になっていったということなんだろうなぁ・・・

なんて言うことを思いながら展示を楽しんできた。

江戸博物館の常設にある日本橋も照明を変えてすっかり明るくなっており、いま見てきた浮世絵の世界を思わせてくれた。

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2012.07.02

たむらしげるの世界展Ⅱ

八王子夢美術館で2012年7月16日まで。

前にも書いたような気がするけれど、たむらしげるがいいなぁとおもったのは
「ロボットの国SOS」という一冊の絵本を見た時から。

ストーリーはSFだし、絵も内容としてはそれにふさわしいものがあるくせに、描かれているのはほのぼのとしたSFの景色。
そして、前回たむらしげるの世界展を見た時に知った「ファンタスマゴリア」
ほのぼのとした異世界を旅するのにも似た不思議な時間。

201206_001

近衛からはちょっとイメージしにくいかもしれないけれど、氏はいろいろな印刷の手法に関しても実験を繰り返している。
インクジェットを使ってみたり、色のシートを貼りあわせていくような方法を使ったり、リトグラフを使ったり、果ては印刷のはずなのに、きらめくビーズのように細かいものを貼ってみたり・・・
中でも印象的だったのは初期のドットプリント。黒で印刷しているはずなのに、どこか色が見えているような気がしてくる(実際には微妙に色がついているらしい)なんていうのがあったりしても作品だけじゃなくてその表現方法も見ていて楽しい。

他の用事もあったのでそそくさと出てこなければならなかったけれど、時間に追われなければもっとじっくりと見ていたかった平和な時間。

このところそんな時間がちょっと少ないような気がする。

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