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2012.01.09

山種コレクション展

山種美術館で、印刷したのではわからない、生のままの絵の良さを普通では気づかない話を伺って一つ一つの絵をじっくりと味わって来ました。

青い日記帳企画「ザ・ベスト・オブ・山種コレクション展」山﨑館長ギャラリートーク・・・青い日記帳のtakさんのお陰でとても有意義な楽しい時間を過ごしてくることが出来ました。

201201

速水御舟の研究で学位を取られた山﨑館長が最初に解説してくださったのが小林古径の「静物」輪郭線を大切にして描かれているこの作品は12世紀頃の中国の影響を受けているといった話から東博の「故宮博物館200選」の話題へ・・・う~ん・・・やっぱり清明上河図も見に行かないと・・・・
なんて、気持ちがそれていたのも束の間、次第に館長のトークに引き込まれていきます。

例えば、佐伯祐三の作品は戸外でスケッチをしたときのゴミが練りこまれているとか、
川合玉堂の早乙女の女性が微笑んでいる話・・・
奥村土牛については30代で日展に入選したしたけれども絵が売れなかったので当時の山﨑種二が買ったとか・・・

その土牛の桜の花を描いた「醍醐」については絵そのものはもちろんだけれど、さくらの花の色・・ピンクのさくらの花の色はエンジ色をしたコチニールカイガラムシの色素を綿に含ませたわた絵の具(なのだそうだがよく分からなかった・・・ワタエンジだという話もあとからコメントでいただきました。)と胡粉(これは貝殻を砕いたものをにかわと混ぜて白い色を描くらしい)を混ぜて作ったという今では使われることがないような絵の具で描かれているのだという。
今のピンクの絵の具ではこの色は出せないのだとか・・・

確かにギャラリートークが終わったあとにもう一度じっくり見なおしてみたら、他の部分は日本絵の具独特の透明感のある色使いで薄く塗ってあるような感じなのに、桜の花びらだけが・・・それもひとつの色ではなく淡いピンクではあるけれど、ほとんど白いものから桃色ぐらいのものまでいろいろな色があっただけではなく、絵の具の塗り方も、まるで、胡粉の厚みが出ているかのようないろいろな厚みがあり、中には「ぼてっとした」という表現がふさわしいような塗り方をしたピンクまでもあった。
この色の厚み、ピンクの鮮やかさは確かに印刷では見ることができないだろうなぁ・・・


或いはこの美術館で一番大きな作品である東山魁夷の「満ち来る潮」。
この作品は東山魁夷が皇居に描いたものに対して、「万人が見ることができるようなものをかいて欲しい」と依頼したとか。
そして本人の希望でしたからもライトがあてられている。
この作品には金と銀と白金の切金が施されている。その金や白金が上からと下からのライトに照らされて、絵が輝いている。
更に黒っぽい岩は黒い色ではなく、絵の具を焼いて作ったのだとか・・・そうすることによってどんな効果を狙ったものなのかはよく聞き取れなかったけれど、立体感が増していることには間違いがないだろう。

これもまた、ギャラリートークのあとでもう一度じっくり見てみると話がよくわかるし、確かに言われたようなことに気づきながら見ると作品がまた違って見える。
上からのライトと、下からのライトの光で作品がより輝いて見えるし、白金の真っ白な光は下からのライトがなければ、白ではなく金属光沢にしか見えなかったかもしれない。
或いは切金の中に黒みがかった部分がある。これは一体何だろうと思わず館長さんのところへ行って質問。
あっさり「銀です。」銀というのは貼るとすぐに黒くなってしまうのだそうだ。
だから最初からそうした効果を狙ってはるのだとか。

フライパンで焼いた絵の具は・・・確かに黒ではなかったけれど、う~~ん、どう違うのか今ひとつ分からなかった。

川端康成にいわれて描いた京洛四季(?)の作品の中の「年暮る」もよく見ると明かりが灯っていたり車があったりしているのだそうだが・・・それを思い出したのは終わってからだったのがとても残念∥>_<∥

そして速水御舟・・・紅梅白梅にも土牛と同じわた絵の具を使っているのだとか・・・彼もまた色にこだわっているのだ。
その圧巻はやっぱり「炎舞」たくさんの蛾のスケッチを色々な向きから描いたけれど、実際には正面からのものだけだし、炎のスケッチはないけれど、平安時代の仏画などから影響を受けているなどなど・・・
が、絵のバックは黒ではない、おそらく紫、と聞いてびっくりした。
暗い中の焔に向かって蛾が舞っているはずだし、どう見ても黒にしか見えないのに・・・というのが正直なところ。
第二展示室に行ってじっくりと眺めてみると、確かに黒は違うのかもしれない・・・・紫とも違う気がするけれど・・・なんて思い始めた。
これもまた、図録などの印刷にすると違いが全くでてこないのだそうだ。

他にもいろいろな話を伺って実り多き時間だったけれど、何よりも印刷では見ることのできない生の絵の持つ良さをじっくり学んできたような気がする。

絵を見に行くというのは自分では言葉にして理解できているわけではないけれど、印刷にはでてこない絵の良さを見に行っていることなのかもしれない。

今回のギャラリートークでは「色」「絵の具」にまつわる話の印象がとても強かったけれど、これはまた山﨑館長が家庭画報という雑誌でで連載をしていることと関係しているのかもしれない。
京都の絵具屋さんが画家の好みに合わせて大量に絵の具を持って行くとか、群青というのはとても高い絵の具、なんていう話も伺ってきたし・・・群青の鉱石も見てみたいなぁ・・・
家庭画報は会場にもおいてあったのでちょっとだけ見てきたけれど、もう少しじっくり読んでみたかったな・・・

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コメント

綿えんじ・・・コチニール(カイガラムシの死骸を綿にしみこませたもの)に胡粉を混ぜたもの。。。という説明だったかと思う。綿エンジという名前については山崎館長にもう一度確認しました。

確かに今日は絵の具の話多かったですよね。明日・・って今日か、加山センセに習っていた友達の日本画家に確認してみようと思ってる。岩絵の具はそもそもが高いみたいだけど、そんな色使っているのかとか。。

つっこみ(笑)⇒番人X 万人○ 一般人と言われていたように記憶してます。

投稿: コトリのぴかちゃん | 2012.01.09 01:28

たぶん、そうなのかもしれません。
ただ、最初の説明の時には「ワタエノグ」とおっしゃっていたような気がします。そこで、コチニールというカイガラムシから取った色素をワタに染み込ませたとおっしゃっていました。
(調べてみるとカイガラムシの中のコチニールカイガラムシという虫のようです)
この時点ではCosはこの絵具は桜の花びらの色のピンク色と理解していたのですが、その後他の方が質問なさったときの色の説明の時には「ワタ(?)エンジという臙脂色」と言われて、それまでイメージしていたピンクがエンジ色に変わってびっくりしたのを覚えています。
Cosは絵の具の説明が、ワタエノグで、色の説明がワタエンジだと思いました。(違っているかもですが・・・)
ただ・・・Wikipediaには「生臙脂」と出ています(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E7%B5%B5%E3%81%AE%E5%85%B7)ので、色の説明に関しては割愛しました。色の名前はどっちでもいいかなぁと。
とりあえず、時間に余裕のあるときにもう一度調べてみます。

でも・・・
番人・・・番人だけが見られても意味が無いですよね∥^o^∥
早速直しました。ありがとうございます。

投稿: Cos | 2012.01.09 09:47

最初の説明は私はよく聞き取れなかったの、だから館長に確認しにいったら絵の具が「わたえんじ」とおっしゃっていました。
一方、翌日件の日本画家友達に聞いたら「あー、コチニールね」とあっさり。彼女いわくは、コチニール自体は結構良く使うそう、素人の生徒さんにもつかわせるとか。但し、ムカシのコチニール(学生時代に使っていたモノ)と今のは色目が少し違うそうですけどね。ピンクを出すためには極々微量のコチニールを白い絵具にたらすようにするんだそうです。もうひとつ言っていたのは、その白を出すにあたって胡粉はすぐにカビが出てしまうので、白を出すのに最近はめったに胡粉を使うことはしなくなったと。よっぽど良い状態にしておかないと美術館でも(彼女の作品も一応美術館入りしている)すぐにカビが出てきてしまうそうよ。だから今では使われることがない。。。という説明に繋がるのだと思います。その意味で山種さんのところにある全てが胡粉遣いではないかもしれないけれど、土牛さんのような古い人たちの作品にカビひとつない(ように見える)のはとても温度湿度管理をしっかりされているからではないでしょうか。特に茅場町⇒三番町って今ほどしっかりしているように思えないだけに、さすがに日本画にほぼ特化した美術館だけあって見えないところでの努力が凄いのね、と感心してしまいました。以上ながーい補足でした。

投稿: コトリのぴかちゃん | 2012.01.11 01:27

調べてくださってありがとうございます。
ワタエンジという言葉で調べてみたら色々と出てきましたので、そのとおりなのだと思います。

水掛け論になるのは避けたいのですが、ぴかちゃんが館長さんに質問なさっていたときにCosもその場にはおりましたが、ぴかちゃんの質問は絵の具の色の名称についてでしたし、館長さんは確かに「あの色はワタエンジ」とお答えになったあと、最前のほどの説明と同じ事をおっしゃっていましたので、その場をさりました。

投稿: Cos | 2012.01.12 05:58

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