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2010.01.25

伝統と革新のルノアール その1

「『楽しくてわかりやすい芸術を』というルノアールの展示は難しい」というポーラ美術館の荒屋鋪透さんの言葉で始まったルノアールの記念講演会。

2010年1月20日から4月5日(月)まで東京の新国立美術館での「ルノワール~伝統と革新」の記念講演会。
万人受けするルノアール・・・Cosも決して嫌いではないけれど、だからといってのめり込むほど好きというわけではない。
綺麗な女性の絵を描く人というイメージが強いけれど、本当のところはどうなんだろう?
そう思っているところにこの講演会のことを知ったので、絵を見る前にまずは裏側から・・とまずは聞いてきた。

記念講演会は
第一部が荒屋鋪透さんの「ルノワールへの旅--パリ、南仏、エッソワ」
第二部が内呂裕之さんの「伝統と革新の狭間に--光学調査で探るルノアールの絵画技法」

フランス革命以前のフランスに生まれ育ったルノアールの生涯に光を当てながらその絵の変化を見て行く・・・取り上げている題材は古典的なものであっても少女の装い・・・ファッションは当時の流行のものだったり、
アルジェリアに旅行することで明るい強い色にのめり込んだり・・・

ジャンルに分けるのではなく年代順にルノアールが親しかった家族や友人をモデルにして描いたもの、旅行して描いた風景・・・

リモージュで生まれ、3歳からはルーブルの近くで暮らしていたルノアール・・・
フランス革命のあとのルーブル宮殿は廃墟のようになっていて、子どもたちも勝手気ままに遊んでいたかもしれないようなところだったのだそうだ。
さらに13歳から18歳までの間磁器の工房で徒弟奉公をしていたというのを聞くと、「楽しく、わかりやすく」というのがわかるような気がする。

1861,62年のアルジェリア旅行のあとで描かれた「アルジェリアの娘」
赤と緑を対比させて明るく強い色彩で描かれている。
おそらくパリにいただけではこうした色にはならなかったのかもしれない。

そしてエッソワの緑、カーニュの茶色・・・?

そんなことを考えながら会場へ。

さっき聞いた話しと照らし合わせながら一枚一枚を見て行く。

もともとCosは人物の絵は好きじゃなかったので、ざっとしか見てこなかったんだけど、流石に今回は話を聞いた直後だけあって、じっくりと眺める。

と、突然少女たちの表情が生き生きとしてくる。
「かわいい」
「きれい」という評価しかしてこなかった少女たちの顔が楽しそうな中に憂いを秘めていたり悲しみをたたえていたり・・・
今回のチラシのトップの「団扇を持つ少女」の絵にしても、最初はとリスマしてポーズを取っているだけのように見えたのに、背景の緑のラインとか、菊の絵の部分とかを見ているうちに憂いを秘めた表情になってくるのである。

これはいえにかえってからもう一度印刷したものを見たけれど、そうした憂いは殆ど感じられなかった。
たぶん本物だけが持つ憂いなんだろうなぁ・・・

と思ってみたり・・・

表情だけでなく、いろいろな色も今までと違って見えてくる。
シャトゥーのセーヌ川の草木、
エッソワ付近の風景の茶色と緑、
カーニュの風景の茶色・・・それぞれの色の深みが写真で見たのとは違ってどんどん深くなってくる。

その極めつけがテレーズ・べラールの青かもしれない。
写真では決して現れてこない深いいろいろな青色。
少女の表情も決して悪くはないけれど、圧倒的な青の前には自己主張ができずにいる感じ。
(実際には色のせいではないとは思うけれど・・・まるで色のせいであるかのようにさえ見てくる)

そばにあった、縫い物をする若い女の紫もとても深くていい色だったのだが、この青の前には見る影を失ってしまっていた。

こうした表情の複雑さ、色の違いは写真では見ることができない。
その違いを見るためだけにでももう一度行きたいのだが・・・


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コメント

解説を聞けてよかったですね。
私もある時から、急に色の重ね方の素晴らしさに心惹かれるようになって、初めてルノワールを「日本人好みの大衆画」という見方から転換するようになりました。
図録写真じゃなかなか、あの質感や、白く光る肌の色の感じは伝わらないですよね。sign01

投稿: コトリのぴかちゃん | 2010.01.25 12:03

さすがCosさん、講演会もきちんと聴かれますね!予習しない僕とは正反対だ。人物画が嫌いとはっきりおっしゃるところもCosさんらしい。、葉山行ったときは横須賀にも行かれるとおっしゃってましたが、今年の横須賀、ラファエル前波からモリスへ、なんてくるのですねー美術の窓より。年賀状の抽選ありましたが、職業柄生徒からももらわれるのでは?高校生になると出さないかな、先生には

【一部変更】

投稿: oki | 2010.01.25 23:30

>コトリのぴかちゃん

実際に見てみないとわからないものって沢山ありますね(絵に限ったことじゃないけど)。

ルノアールの表情、色・・印刷と似てはいるけれどまるっきり違っているのが面白いです。

だけど・・・色ばっかり見てきたというのもなんだかなぁ・・・

>okiさん

実際には時間がなかなかあわなくて聞けないのですが、その展覧会を作った人の話は想いが深いので聞いても面白いことが多く、チャンスがあれば聞きたいといつも思っています。

横須賀は・・・ラファエル前派までは見たいものがないのが残念・・・葉山は今行きたいのに∥^o^∥

投稿: Cos | 2010.01.26 07:59

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