2010.12.30

カンディンスキーと図画の時間

「カンディンスキー」の名前を聞いた瞬間に今まで見た得が特に良かった印象があったわけでもないのに、「絶対に行く」と決めていた「カンディンスキーと青騎士展

当初は年が開けてから出来れば冬休みの間に行こうと思っていたのだが、チケットが手に入ったらチケットを握りしめていってきてしまった。

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2011年2月6日まで
三菱一号館美術館

いや、個人的には奥さんがいるのにミュンターと一緒に何年にも渡って旅行をしたあげく何年もの間一緒に暮らしたなんていうのもうらやましい、もちろん。
(ミュンターと別れたあとは奥さんと寄りを戻したんだろうか??)

が、彼のパレットナイフを使って絵の具を乗せていって描かれた小さな油彩画がCosにはとても良かった。
色を乗せていって描かれた絵はそんなに抽象的ではなかったのだが・・・・

子供の頃の記憶がまざまざとよみがえってきた。

小学校の2年生か3年生の時学校の授業で写生に行ったのだが、その頃のCosは色を混ぜると違う色になる事(もちろん、実際には混ぜた色になるわけでその事自体)が不思議でならなかった。

木々や山を写生するべき時間に画用紙一面に全て違った緑(緑と、白と、黄色を混ぜて作った緑)で塗り上げた作品を作ったのだ。
そこには木もなければ山もない、地面すらない、一面緑。
出来上がったものを見ればそこには一面ベタベタと塗りたくった(それも水が少なかったのでかなり厚く塗りたくった)緑。

「写生」だったのだからもちろん先生に怒られた。

でも、Cosは緑という色は一色じゃなくて、いろんな緑があって、それを全部知りたかったのだ。

印象派の絵を見ても思い出さなかったのに、カンディンスキーの絵を見たら、そんな絵を書いたこと、何を描くかではなく、形と色に関心が向いていたことをしっかり思い出した。

もしかしたら、このころCosはカンディンスキーの絵を見ていたのかもしれない。
彼の初期から中期にかけての形と色に対する関心と似たようなものがCosの中にもあった不思議。
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ムルナウ近郊の鉄道。
彼の考える色と形。

カンディンスキーはここから抽象化していって、
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コンポジションIIVのための習作

こんなデザインのバランスまでも含めて色と形の絵。
だからCosは好きだったんだなぁ・・・・

チケットをありがとうございました。こんなに懐かしいものが待っているとは夢にも思いませんでした。
早く観に来てよかった。だって・・・
会期終了までにもう一度行きたいと思っているけれど・・・いけるといいな。


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2010.01.10

キリコ会館

「キリコ」と聞いて普通は何を思い浮かべるのだろうか?

Cosはてっきり「江戸切子」とか「薩摩切子」と同じように「能登切子」があるのかと思ってしまったし,わざわざの戸にまで来て「切子」を見たいわけじゃないしなぁ・・・
と思ってしまったのだ.

が・・・観光案内でもらった冊子には「おまつり・・・がどうのこうの」と書いてある.
ガラスとお祭りの関係???
と頭を捻る事になったのだが,どうやらガラスではなくお祭りに関係があるらしいとわかったので
「キリコ会館に行きたい!!」と言っては見たものの周囲の反応は芳しくない.

お祭りに関係があるらしいということだけはわかったけれど
「じゃあ,どういうところなのか?」と聞かれてもそれ以上のことは答えられるはずもなく・・・漆芸会館が隣になければ他の人達に反対されかねないところだった.

Cosにしたところでちゃんとわかっているわけじゃないから「なにがなんでも」と主張できる程でもなく,漆芸会館によったついでに・・・入ってみたのだが・・・

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中に入った瞬間に三階分ぐらいはありそうな高い天井いっぱいまでにそびえているものに圧倒される.
どうやらこれが「キリコ」らしい。
確かにお祭りには関係していそうだけど,こんなに巨大なものが待ち構えているとは思いもしなかった.

石川新情報書府 - 能登のキリコ祭り.

 縄文の頃から、大陸からさまざまな人々が渡来し、技術や文化をもたらした。さらに、「海の道」が主要交通路だった時代は、日本海沿岸各地との交流も盛んに行われ、いわば「日本海文化」の交流拠点の役割を担っていた。  さまざまな交流の中で、独自の文化を育んできた能登半島には、今も、祭りをはじめとする貴重な民俗行事が受け継がれ、「民俗の宝庫」「祭りの宝庫」と呼ばれている。その中でも、能登半島に唯一、と言われる祭りが「キリコ祭り」である。

「キリコ」とは、直方体の形をした山車(だし)の一種で、これに担ぎ棒がつけられている。切子灯篭(きりこどうろう)をつづめた呼び名で、切篭(きりこ)と書く。奥能登ではほとんど「キリコ」と呼んでいるが、中能登では「オアカシ(お明かし)」とか「ホートー(奉燈)」とも呼ぶ。
 神輿のお供として、道中を練り歩き、夜には中に明かりが灯り、大きな「行灯」となる。現在は高さ4~5mのキリコが多いが、中には高さ15~16m、100人以上で担ぐキリコもある。キリコが1本だけ出る祭りもあれば、50本を超すキリコが乱舞する祭りもある。

ということなのだが,こんなものは見たことがない.
こんなふうに光が入って街を練り歩いたら・・それは壮観だろうと思う.
今も能登のあちこちのお祭りで使われているというのだから、実際に使われているところを一度見てみたいものだ。

人々の方に担がれた巨大な灯篭が街を海を練り歩く・・・壮観だろうなぁ・・・

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キリコには字が描かれたものばかりではなくこんなふうに絵が書かれたものもある.
これだけの大きさの絵を描くのは時間もかかるし大変だろうと思う・・・・
それを何百年もつづけてきた能登の人たち・・・
今でこそCosたちがいわゆる都に住んでいて豊かな生活を享受しているようにみえても、実はこうした歴史と文化をたゆまず守り続けてきた能登の人達の方がずっと豊かなんじゃないかと・・・

今日本のあちこちで文化や芸術にかける予算がどんどん縮小されてきている.
独立採算制という言葉の裏に人のこない博物館は文化財の収集や保存のために書ける費用が削られていくのだ.
「祭り」のようないわば形のないものを保存するのはこうした形のある「キリコ」だけではダメなのである.
それを担ぐ人、作る人、祭りに参加する沢山の人達がいて初めて歴史が保存されていく。
何百年にもわたって能登の人たちが守り続けてきた祭りはこのキリコだけではなく季節ごとに各戸で行われるものもあった.
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これは「あえのこと」のジオラマ。
12月5日に神様をお迎えして冬の間一緒に暮らし冬が終わると神様は帰っていくというのだ。
神様をお迎えするときには二股の大根を備えて食事でもてなすというのだ。

寒い寒い冬の間は神様も暖かい家の中に滞在するということなのかも.
いったいいつごろからあるものなのか・・・木ノ実をいろいろとお供えするところから、稲が作られていなかった縄文時代の名残と行ったようなことも考えられるらしいところをみるとかなり古いのだろう。
次第にやる家庭が減ってきているのは時代を考えれば当然といえば当然だけど、工やって文化が消えて行くのかもしれない・・・

実際に生活している人達にとってはそんなあまっちょろいものではないだろうけど・・・

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この他にも能登独特の祭りがいろいろとある.

木型のそうではかったご飯を山盛りにして食べるもっそう祭り、
巨大な鏡餅を作って周りの人がケチを付けて主人がフォローするという いどり祭り・・

能登には不思議な祭りや祭りごとがいろいろとある.
同じ日本海側にある男鹿半島でもなまはげがいたりしてやっぱり古い歴史が息づいているのがちょっと不思議.

海を見て通りすぎるだけだと決して知ることのできない歴史や文化を知ることができたひととき。
形のない歴史や文化を守り伝えてきた社会はまた、Cosのように新しいものが好きな人間にとっては生きていくのが厳しい社会かもしれない・・


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2010.01.06

石川県立歴史博物館

本当は県立美術館にも行きたかったけれど、もう年末で閉まっていた。残念。

というわけで雨の中県立博物館へ。

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もともとは陸軍の兵器庫だった建物3棟からなっている石川県立歴史博物館。
倉庫と兵器庫はちょっと違うんだろうけれど、横浜の赤レンガを思い出すような雰囲気がちょっとある。
中はしっかり改装されて(第1棟は)歴史的な雰囲気を感じさせる内装。
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天井からはシャンデリアが下がり、階段には赤い絨毯が敷いてあって優雅な雰囲気。
どこまでが当時のものの復元で、どこまでがそうでないかはわからないけれど、ゆっくりと時間を過ごしたい。

展示室は写真が禁止。
博物館なんだからとらせてもいいんじゃないかと思ったけれど、あとになって県立博物館のサイトに「借りたものが多いので写真は禁止」と書いてあった。
まぁ、仕方ないんだろうなぁ・・・

ついたときには閉館まであと1時間、しかも予想外に展示室が多くて広い。
歴史は苦手だから見るものは多いし時間は少ない。
結果的に消化不良のまま終わってしまった気がするけれど、大急ぎで見て回ってきた。

ふだん、東京、京都、奈良にばかり目を向けがちだけど、実はこうした日本海側には古くから伝わっている独特の文化が残っている。
考えてみれば、今でこそ太平洋側が交流の中心なのかもしれないけれど、ずっと昔小さな船しかなかったような時代には日本海側こそが他国との交流の中心だったはず。

第一棟では出土した縄文土器、弥生土器。珠洲では特大の土器が生産されていたし、大陸交流の要でもあったこの土地には古い形の祭りあるいは祭りごとがいろいろとあった様子などが説明されていた。
Cosが見たことも聞いたこともないような生活の中の行事がとても不思議だった。
作物の収穫、海の神様に対する祈りみたいなものを表しているのだろうか。
おそらくそうした祭りの中にかつての人々の暮らしの片鱗が伺えるのだろうなぁ・・・
その辺のところをもう少しじっくりと見たかったけれど・・・
なかなか思うようにはならない。

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棟と棟の間の中庭にはこんな池も。
池におかれているのは延長10kmにも及ぶ辰巳用水の導水管に使われていた石管なのだそうだ。
冬は水が出ないけれど、夏には水も流す・・・と書いてあったと思うけれど、冷たい雨の冬の空でやっぱり寒そうだった。
この池を挟んで第2棟は体験コーナー
第3棟は科学技術関連の歴史が展示されていて二階に登るとそこからもともとの兵器庫の天井の様子をみることができる。
(しっかり読んでくればよかったんだけど・・・)

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体験コーナーではこんなふうにいろいろなことを試してみることができる。
一箇所に集めてしまうのはそれはそれでほかとの関連が良く見えてこないかもしれないけれど、楽しそう。

と閉館時間ギリギリまで粘って外に出てくると・・・

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すっかり陽は落ちてライトアップ。雪が少しだけあっていかにも冬の金沢。
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ライトアップされた歴史博物館は赤レンガの赤が消えて白っぽくなり冬の金沢の寒さを象徴しているかのよう。

行く時には雨がかなり降っていて道を歩くのもちょっと大変だったけれど、それだけの価値のある面白い展示だった。

特に能登の歴史・・古い古い能登の文化は面白そうだ・・・

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2010.01.04

金沢21世紀美術館2009冬

今回どうしても見に行きたかったオラファーエリアソン展が開かれていたのがここ。

前回も同じように思ったけれど、外に向かって開かれた美術館。

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全体がガラス張りというだけではなく、無料で入れるオープンスペースも広く、中に入ってみると・・・
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こんなのが走っていたりするのである∥^o^∥
これも作品の一つ。
パトリック・トゥットフオコの「バイサークル」
それぞれの自転車にはシルヴィア、アレッサンドラ、エミコ、リツと名前がついているのだ。

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もちろんこのじゅうたんと巨大積み木のようなスツール(だろうと思うけどただの積み木かもしれない)も作品の一つ。
みんな靴で入っていたけれど、靴を脱いでゴロンとしたら気持ちが良さそうだった。
巨大積み木を積み重ねたり、秘密基地を作ったりしたら楽しいだろうなぁ・・・


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こんなものが貼ってある通路も・・・∥^o^∥
変な自転車は進入禁止なのである。

この自転車バイサークルも乗ってみたかったんだけど、Cosの番は結局こなかったのが残念。

今回の常設展は「コレクション展--Shift--」
これはすごいと感動したものもあれば、「?」となったものもあったけれど、良かったのはアン・ウイルソン。
糸や針レース遍などが構成する細菌のコロニーのようなもの。
それをビデオにとって巨大な壁のスクリーンに映し出す。
ビデオの映像を見ていても大きさがわからないから、そこに映し出される世界がとても不思議に見えてくる。

そして恒久展示の一つスイミングプール。
プールの中からプールをのぞき込んでいる人達を見るのは楽しい。
こっちが手を振ると向こうも手を振り返してくれる。

この日は今にも雨が振りそうなどんよりと曇った空だったけれど、たまに雲が薄くなって光が降りてくる
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まるでエリアソンの作品のように、光がプールに差し込んでくる。
その光の中には(たぶん)女の人が・・・・

もちろん忘れてはいけないのがタレルの部屋。
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ここでは言葉なく空をみあげてしまう。

この後他のところを見たり、食事をしたりして夜になってからもう一度戻ってきた。

夜になるとこのタレルの部屋は表情を変える。
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壁の柔らかな間接照明が夜の国を演出している。
柔らかな光りに包まれた部屋から空を見上げると・・・
夕方には土砂降りだった空も雨がやみ、たまに切れる雲の間から月がちょっとだけ顔を出したりもしている。
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月が見えるのはほんの一瞬で、ピントを合わせるまもなく雲に隠れてしまったけれど、白くぼぉーと見えるところが月。

心安らかな平和なひととき。

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エリアソンのライトはもう企画展は閉館しているのにも関わらず夜の国で光を放ち、スイミングプールがその光を受け止めている。

これもまた昼間よりも夜のほうが光が生きている感じがする。

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夜の21世紀美術館。
人々に開かれた美術館のながい一日がもうすぐ終わる。


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あなたがであうとき---オラファーエリアソン展

2009年年の瀬も押し詰まった12月の終わりに金沢に行ってきた。
もちろん一番の目的は金沢21世紀美術館のオラファーエリアソン展。

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レアンドロのプールの向こう側が入り口。
作品の一部が見えている。
これは明るさが変化しているんじゃないかとも思うけれど、結局のところ確認できなかった。
彼の作品としては衝撃的な感動もなかったし・・・

が、次の暗い部屋に入った瞬間にエリアソンの世界の虜になる。
暗い部屋の床の真ん中にライトが一つ。
そのライトの周りを円筒形の筒を縦に切ったようなものでカバーしてあって、そのカバーが回転する。
回転すると影の部分と光の部分が移動していくのだが、たぶんカバーは2枚か3枚になっていて光の当たる部分が変化していく。
その変化を見ているだけでも不思議な感覚なのだが、光のなかに入った瞬間、中央のライトのまぶしい光が自分を包む。

一瞬、「光あれ」というシーンを体感したんじゃないかと思うほどの衝撃。
眼が痛いほどのまぶしさではないけれど、光りに包まれて現実ではない世界に入り込んでしまったかのよう。

しばらく・・・影の世界に戻るまで動けなくなってしまった∥^o^∥

「Slow-motion shadow in colour」
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これはCosにも出来そうだ・・・と作ったのが最近のフラッシュのシリーズ。
もちろん、実際に見た時ほどの感動は決して得られないけれど、色の美しさ、変化だけはちょっとだけ似たものを作り出すことができるのがうれしい。

この影のシリーズはモノクロのもの、スクリーンの前にいろいろな形に組み合わせた鏡を置くことでより複雑な形にしたものなどがあって一つ一つがこちらを美しい影の世界にいざなってくれる。

こういう影を作る・・というのはほかでも見たことがなんどもあるし、川村記念美術館でもちょっと前に見てきたところ。
(ほとんど同じコンセプトで作られていた)

後ろから光を浴びて前のスクリーンに投影する、投影されたものをスクリーン越しに向こう側から見る・・・見方は両方あるけれど、自分の動きが虹色の影になって映し出されるのは嬉しい。

原美術館にもあったオレンジのライトの部屋。
オレンジ色のライトの中ですべてがモノクロの世界になったかのような錯覚を覚える。
普段使っている黄色い消しゴム付きの鉛筆が真っ白に見えたのが面白い。

三色の霧に満ちたYour atmospheric colour atlas
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チラシにもなっている霧の世界。
中に入ってみると3色の霧の世界に取り込まれて、他の人の姿もおぼろげにしか見えない。
霧の世界というだけでも幻想的なのにその霧に色がついていて、自分がどこに立つかで世界が変わってしまうのだ。
以前見た長澤英俊の暗闇の中の「オーロラの向かうところ」をこの3色の霧の中で見たらどうなるんだろう・・・
この中にもう一度入りたい・・・

行ったときには「調整中」ということで見られなかったYour watercolour horizon
係の人に聞いたらまだしばらく時間がかかりそうだということなのでもう一度ここまで見に来ようかと思っていたのだが、しばらくしてからよってみたら係員の人が「治ってますよ」と嬉しそうに声をかけてくれた。
真っ暗な部屋の中心に大きな円形のプールがあり、その中心からリング状に出た光が水面に反射して円形の壁に映し出されている。
微妙な水の波が壁に映し出されるとそこには複雑な形をした光の波が現れる。
静かに流れる光の世界。
無心に光の波を見続けるひととき・・・
何時間でも見ていたかった。

エリアソンの作品はどれも実際に見てみないとその良さが十分に伝わってこない。

今回は3人で旅行をしたのだが、ここはひとりで行くべきところ。
心ゆくまでエリアソンの世界の中に入っていたかった。

今回どうやら
Eye activity line 「アイ・アクティヴィティ・ライン」
はなかったらしい。
壁にスリットが空いているだけで他のサイトで見たものとは全く違っていた。

コレを見るためだけでも・・・・
もう少し近ければ必ずもう一度行くんだけどなぁ・・・

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2009.12.20

光の中の自然

ここしばらく忙しくてゆったりとした気分になれることがとても少なかったからかもしれないけれど、ずっと山に行きたいなぁと思い続けている。

もちろんCosが行くのだからすごい山というのではなく、人里から離れたところにある木がいっぱいある人のいないところという程度(あぁ・・・職場の近所だってそういうところはあるんだが・・・)
が、行きたいとは思ってもなかなか実行できないのはCosの常∥>_<∥

自然の中に入っていく次に好きなのが綺麗なものを見ること・・・というわけで仕事が早く終わった日、府中市美術館に行ってきた。

府中市美術館

ターナーから印象派へ 光の中の自然
2009年11月14日(土曜日)から2010年2月14日(日曜日)

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「ターナー賞」の名前にもなったイギリスのターナー・・・
彼の風景画は必ずも写実的とは限らず、抽象的なものも少なくない。
風景画を描くくせに緑が好きじゃないという変わり者のターナー

そういう変わり者のところもきっと好きなんだろうな。

まあ、「ターナー」とは銘打っているものの実際に展示されているものにはターナーの作品は少ない。
「エーレンブライトシュタイン」(上の絵)「ルツェルン湖の汽船」、「ブリッドポート」、「赤と青、海の入り日」、「タブリ・ハウス」の5点だけかな?

彼の作品を期待していったのなら期待はずれといえば期待はずれなのかもしれないけれど、それ以上にイギリスの風景画がたくさんあって、Cosとしては逆に期待以上だったかもしれない。

最初に「おぉ!!」となったのはヘンリー・ハントの「イワヒバリの巣」とか「プラムと桃とヘーゼルナッツ」といった緻密な静物(?)画。

そして、Cosが名前を知らない人たちのたくさんのイギリスの風景画。
会場ではイギリスの各地の写真が展示してあって、実際の景色と風景画の両方を楽しむことができる。
イギリスの田舎の景色をCosは知らないから、写真と絵の違いはよくわからないけれど、いわゆる有名なところかどうかも分からないようなたくさんの風景、
ただ景色を描いたというだけではなく、その殆どが空間の広がりと静寂を感じさせてくれる。
ちょうどハンマースホイの室内の静寂が戸外に移った・・・とでもいいたくなるような静寂。
山に畑に・・・
そこで働いていたりする人々の姿があっても、たとえ笑いさざめいていたにせよ、そこには静けさが漂っているのだ。

ちょうど、他の人のいない山の見晴台まで登って景色を眺めているかのような・・・そんな雰囲気すら感じられてくる。

どうやらCosは木と水のある景色が好きらしい。
あぁ・・・イギリスの景色を見に行きたい・・・湖水地方とか・・・・
流石にスコットランドまで行くのは難しそうだけど・・・


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ミレイの「グレン・バーナム」
グレン・バーナムというのが地名なのかどうかも知らないし、どこにでもありそうな景色・・・Cosはこういう景色画好きだ。

こんな景色は日本でもありそうだと思うのだが・・・う~~ん・・・
でもいいなぁ・・・
写真にとることも出来そうな気もするけれど・・・絵画ならではの良さ・・・写真ではこの味は出せないような気がする・・・

時々、カメラの台頭は・・・今のようにCosのような輩でさえカメラを片手に出かけているような時代にはこうした絵画は写真にとって変わられてしまっているような気がする。
それはそれで実はとてももったいないことなのかもしれない。

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そんなことを思いながら美術館の窓から外を眺めるとそこにもCosの好きな秋の景色。というわけでCosも真似をして秋の夕暮れを一枚・・・(う~~ん・・・もっと上手にとれるといいなぁ)


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2009.12.18

月光のアンフラマンス

佐倉へ行く理由の一つが川村記念美術館。
今回は「月光のアンフラマンス」というよく分からないタイトル。

本展は、20世紀以降の美術に甚大な影響を与えたフランスの美術家、マルセル・デュシャン(1887~1968)が考案した「アンフラマンス」(Inframince:直訳は「極薄」「超薄」)という造語から発想したものです。
 本展では、月光(≒アンフラマンス)に類縁する精神性を感じさせる中世から現代までの美術作品を二部構成でご紹介します

なんていうのを読むと、Cosが不安を感じる精神論にいきついてしまいそうなのがちょっと怖いけど・・・P1010669

まっさきにお出迎えしてくれた。
向こうまでずっとつづいているひしゃげたガラスのボールのようなものは

増田洋美 《 PLAY THE GLASS 》

なかなかいい味を出していた。

で、日本画があったり、ターナーがあったりしてそれはそれでとても良かったんだけど、ショックだったのはエンマ・クンツ(Emma Kunz)のドローイング。

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方眼紙の上に直線で描かれた彼女の絵はいかにも数学的な・・・いかにも幻術的な・・・

クンツはただ、この世界を知り、宇宙の法則を記すために描きました。
という発想の怖さ・・・こういう絵を描くことで宇宙の法則が描かれると考えているのだとしたらあまりに怖いけれど、描かれているものは素晴らしい。

実際に見るとこれが方眼紙の上に描かれていることに衝撃を受ける。
緻密な細かい線と線が重なりあってできる造形は形としての対称性と調和であり、Cosもまたこうした形に引き寄せられるひとりなのだ。

宇宙の法則とは思わないけれど、数学的な規則性、対称性を表現していることには間違いない。

他にももう一度見たいものも沢山あるし、なによりもこのエンマ・クンツをじっくりと見直しに行ってこないと・・・


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2009.11.29

もっと知りたいラファエッロ・・・出版記念の会

このところなんだか元気のない・・・というよりもどうしてこんなにやることがたくさんあるんだろう状態のCosですが、今日は

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4808708795もっと知りたいラファエッロ―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)
東京美術 2009-11

by G-Tools

の出版記念のパーティに行ってきました。
(Amazonにはまだ画像がないので、池上先生のところから借りてきました。)

Cosですら名前を知っているラファエッロなのに、日本語の本はこれで2冊目なのだそうだ。
そういわれてみると、Cosが知っていたのは名前と何点かの絵だけで、ラファエッロがどんな人かなんていうことはまったく知らなかったのだ。

本にも書かれているけれど、ラファエッロの自画像といわれている作品と彼の作品の特徴でもある生き生きとした描き方の違いについてのレクチャーなどがあったのがとてもうれしかった。

彼に教わっている人たちがとてもうらやましいけれど・・・う~~ん、Cosにはその余裕がどんな意味でもまるっきりないからなぁ・・・

さらに、美術のはずなのに、池上先生のバンド・・・「これからライブ」という先生がいたり・・・の演奏も楽しんだし、ビンゴでトランプもいただいたし、

普段しゃべっている声とはまるっきり質が違って、どうしてこんなにきれいな音が出るんだろうと思わずにいられないオペラ(やっぱり先生だけど)を聞いたりして、アカデミックな意味でも充実した時間だったし、あちらこちらで知り合った方たちとも旧交を温めてきたし・・・・


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ラファエッロの本も特別価格で分けていただいた上にサインまでしてもらってきた・・・\∥^O^∥/
(ちゃんとCosあてにめっせーじもいただいてきたぞ、それにしても写真がひどいからそのうち撮り直してさしかえよう・・・今日はもう無理・・・)

嵐のようにえをかいて、あっという間に37歳の若さでこの世を去っていたラファエッロ・・・その作品と生涯を垣間見ることのできる一冊。

Cosなどは今までどんな風にいわれてきたかもよくわかってないから、池上先生がどんなことを研究して、今までの評価がどう変わったのかは実はよくわからない。
それまで自画像だといわれてきた作品がほかの人の手によるものではないかと池上先生は書いていらっしゃるのだが・・・・

あるいは師匠の作品との違い・・・彼の死後師匠が仕上げた作品を通じてラファエッロの描く質感の違いがはっきり読み取れる。
天才の天才たる所以なんだろうなぁ・・・

本をじっくり読んでからまたもう一度彼の作品と対峙してみたいなぁ・・・

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2009.11.07

大地の芸術祭秋(その4) タレル光の館

今回どうしても行きたかったのがタレルの光の館。

以前金沢の夜を過ごしたタレルの部屋の良さが忘れられなくて・・・

宿泊施設にもなっていて泊まることができるのだけど、予約がいっぱいだから夜を楽しむことはできなかったのが残念。
そのうち何とか泊まれないものだろうか・・・

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この高床式(といっても一階部分があるので実際には違うのだけど)になっている光の館。

二階の四方が回廊になっていて直接自然を感じることができる。
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これはほかの部屋だけれど、温かな間接照明。
はっきりした記憶はないけれど見たのはすべて間接照明だった気がする。
キッチンは直接照明になっている部分もあったかもしれないけれど、和室はすべてこんな感じで落ち着いた雰囲気。

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宿泊客でないと使用できないトイレ。
こんな風に柔らかな光に囲まれてすごす夜はうらやましい。

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そして屋根が空いて四角く切り取られた空。
畳の上にねっころがって空を見ていると距離感も失われてどこまでも広がって伸びていくような不思議な感じ。

こうやって映像で見るとたいしたことはないけれど、部屋の中で見ていると空と一体になったような不思議な感動。
これを味わいに来たんだなぁ・・・

(新しいカメラは動画がQUICKTIMEの形式なのでそのままでは編集できずに悪戦苦闘・・・)


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2009.10.18

大地の芸術祭秋(その3) 霧の朝

当初の予定では「朝は棚田」と思っていたのだが、ちょうどこの時期は稲刈りが済んだところで水が入っていないときいて、(早起きも苦手だし)まあいいか・・・

それでもあと10日ほどするとまた水を張ると聞いたので、この記事を書いている今頃は棚田では旭や夕日が輝いているんだろうなぁ・・・

平地であれば水を張らなくても大丈夫だけれど、棚田では水を張らないと田んぼが割れて水が漏るようになってしまうのだとも言う。
それだけの手入れを必要とする棚田・・・かつては出稼ぎの盛んなこの土地で残った人たちが水を張って田んぼを守ったのだろう。

「きれい」というだけで済ませてはいけないひとつの文化。

なんていうことを宿に入っておいしいお米の食事をしながらちょっと考えはしたけれど・・・・

それなら!
とばかりに早起きをして見られなかった松代のほかの場所を朝食前に見に行くことにする。

結果としてはそのおかげで幻想的な風景が見られたし、霧が深かったので同じ宿にいた方に伺ったら棚田の景色も今ひとつだったようだった。

というわけでCosたちは早起きをして昨日の鉛筆から見始めることに。
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霧の中に昨日も見た「リバース・シティ」
一本一本の巨大鉛筆には世界の各都市の名前が入っている。
深い霧の中の姿は何かを象徴しているかのよう・・・
箱に入った色鉛筆のように世界が集まっている。

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まあ、「この鉛筆はかけるんだろうか?」というのがCosの素直な感想だったかもしれないが・・・∥^O^∥

霧の中に浮かび上がってくる作品は「霧」というだけで幻想的にも見えてくるから不思議。

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意味を知らないと面白くもない作品。
北斗七星の形にあけられた穴から雑草が生えてきて季節とともにその姿を変えていくという「関係--大地 北斗七星」
概念としては面白いし、頭の中だけで考えるとそれなりによさそうに見えるけれど、実際に見てみると・・・北斗七星だと知っていてもあまりCosに響くものはない。

発想としては面白いと思うんだけどなぁ・・・

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これも発想としては面白い、「今を楽しめ」
松代の子供たちと作ったという雪だるまを冷蔵庫に閉じ込め、会期終了後は解けていくのだという。
が・・・・雪でできているなんて見ただけではわからないのだ。
雪だるまはかわいいし、雪深いこの地を象徴しているのだろうとは思っても、そこまでは思いつかなかった。
まあ、かわいいからいいんだけど・・・

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「平和の庭」インドのやわらかい大理石で作ったハスの花のオブジェ。
日本人の発想のハスじゃなくて、インド人の発想のハスなんだろうな。

昨日、農舞台から見た棚田の一番上になる小さな池のほとりにさりげなく。
左の方に見える黄色い人が昨日農舞台から見た棚田で働く人。

静かに、まるで本当の植物のようにさりげなくおかれている。
派手なところ、主張するものは見えてこないかもしれないけれど、静かな池にふさわしい。

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陽がほのかに差し込んできて・・・・なまえのわからないトーテムポール(?)を浮き上がらせている。
アート作品としてはすごいとは思わないけれど、霧と朝日の中の姿は・・・自然の力は・・・本当にきれい。
早起きをしてここまで上って来てよかった。
(といっても、もちろんくるまで上ってきたんだし、この写真も多分車を降りることなく開けっ放しの屋根から撮った・・・のだったと思う)

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見ただけで笑い出したくなるようなかかしプロジェクトはMOT(東京都現代美術館)近くの深川の人たちの作品。
この深川の町は「アート」に力を入れていて、MOTの行き帰りに楽しんでいるのだが、東京を離れたここでまた出会うとは・・・
なんだかうれしくなってしまった。


道の脇に並んだかかしたちはオズの国に迷い込んでしまったかのように通る人を歓迎してくれている。
気分はちょっとファンタジー。

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ある意味、Cosの理想郷である森の中の図書館「フィヒテ」
ここで本を読んでのんびりすごしたくなったのはいうまでもない。
本来、本は湿気や光に弱いから、戸外に図書館を作るのは無理。
子供のころ、森の中の隠れ家を楽しんだように、森の中の秘密の図書館を楽しみたいものだ。
雨が降ったら傘を差して、雪が降ったら雪に埋もれながら・・・

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材木を積み重ねて作られた「棚守る竜神の塔」
棚田を見下ろす山のキャンプ場の入り口の空き地に作られている。
製剤所から出てきたような板で作ってある竜神はなかなか面白い。
この竜神の脇の道を登って上のほうに上がっていくと、眼下には
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竜神は深い霧の中に沈みこんでいる松代の街を見守り、霧の向こうには街を挟んだ向こう側の山の緑が見えている。

霧の向こう側に見える山は不思議なこの世のものとは思えないような不思議な世界・・・

確かにここでCosはアートに出会った。
が、自然に勝るアートはないのだと改めて感じたひととき。

このあとぐるっとまわってから降りるころには霧もすっかり晴れて不思議な世界も消えてしまっていた。

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