2008.12.31

地上の花

これも会期末ぎりぎりでみてきた写真展。
このところ写真ばかりになっているし年初めにはまた写真の予定なので、どうしようかとも思ったのだが、ポートレートが面白いと聞いたのでちょっといってみることにしたのだ。

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「蜷川美香展---地上の花、天上の色---」
オペラシティアートギャラリーで2008年12月28日まで。

最初に入る部屋は「花」大き目のパネルの写真がいっぱい並んでいるのだが、今ひとつぴんとこない。
見ているときにはどこがぴんと来ないのか分からなかったけれど後になってみるとCosが花に求めているものと彼女が花に求めているものがずれていると言うことなんだろうなと思った。

この展覧会は部屋から部屋へ移動するときにはカーテンを開けて進むようになっている。
カーテンを開けるとこそには前の部屋とまったく違った世界が広がっている。

最初のうちは「う~ん」状態だったけれど、カーテンをくぐった向こうが暗い部屋で正面の巨大なスクリーンを泳ぐ赤と白が目に入った瞬間に見方が変わってしまった。
「金魚」としてではなく赤と白(と黒)の世界としてみるとすごくいいのである。


そして彼女のポートレート・・・
とられることになれている人たちの写真を撮ったとき、その写真が個性を語り始める・・・と言う感じだろうか。
Cosは芸能人の名前なんかは知らないから、見たことがあってもそれが誰だかさっぱり分からない。
それでも一人一人が生き生きとしているのだ。

そしてきわめつけが「造花」
ちょっと見ると普通の花となんら変わらないように見えているのにじっくり見ると一つ一つの花が造花であることを主張してくる。
自然の花であっても不思議はないような場所で決して枯れることなく、でもおそらくこのままでいるわけではなく、飾られて理寿命は結構短いのかもしれないと思わせる。

そして最後の壁面にびっしりと貼り付けられたポートレートたち。
そんなに混んでいたわけではないけれど、誰しもがじっくり見たいと思うポートレートだからか、ここだけは列が出来ていて、しかもその列がゆっくりゆっくりとしか動かないのだ。

さすがにここは時間切れで途中でギブアップしてしまったけれど、もっとすいていてじっくり見ることが出来たら面白かったかもしれない。

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2008.12.30

丸紅コレクション

損保ジャパン東郷青児美術館で2008年12月28日までの丸紅コレクションに会期末ぎりぎりに行ってきた。

さすがに年末になるとごみつくり(大掃除と言うほどじゃなくてひたすらごみをまとめてるだけ・・・)が忙しくてなかなかのんびりパソコンに向かう余裕がない・・・今日もないのだがこっそりと座って・・・∥^O^∥

会場に入ると最初に展示してあるのは江戸時代の着物。先日佐倉の歴博でみた打敷となって現在まで伝わっているものと違って(当然時代も違うし)きれいな着物のままの形で保存されているから、すごくきれいな感じがする。

江戸時代、身分によって着ることの出来る着物が違っていて
武家の打ちかけには教養の高さを表す源氏物語や脳のモチーフがあったり(御所解)
町人の葉地味な地色にすそだけに模様を入れる褄(つま)(江戸褄)
が展示してあった。
思わずどういう風に作ってあるのかじっくりと眺めてしまったのは歴博の影響だろう∥^O^∥

能装束には金糸の刺繍と金が塗ったものの両方が一枚の着物に入っていたりしてそれはそれで面白かった。

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このちらしにあるサンドロ・ボッティチェリの「美しきシモネッタ」 1480-85年頃
を見るのがひとつの目的だったけれど、実はあんまりいいとは思わなかった。
なんとなくもっと深みのある絵を期待していたのだが・・・う~ん残念。

逆にまるっきり期待していなかったのにとてもよかったのがブラマンクの冬景色と言う一枚。
ブラマンクの作品は3点出ているのだけれど、他の二つはCosの趣味からはかなりかけ離れていたけれど、この冬景色はとてもよかった。

季節柄なのか、Cosがこういう寒々とした風景がすきなのか・・・・
ブラマンクは好きじゃないけれど、こういう絵をかいているのならもっと見たいかも。

そういえば、いいなと思った加山又造の絵も冬山だった∥^O^∥
ちょっと見ただけでは気がつかないけど、手前の雪は白で山の雪は銀と金でかいているから山がぐっと存在を主張しているようにも見えた。

来年は六本木で加山又造展があるからちょっと楽しみ。

・・・さてと、もうちょっとごみを作っておこうかな・・・_| ̄|●

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2008.12.27

4件はしご

はしごとってもアルコールじゃなくて美術展。

2008年12月28日までの
練馬区立美術館
損保ジャパン東郷青児美術館
オペラシティーアートギャラリー

おまけでまだ当分やってるんだけど
ICC

の4件を回ってきたのだ。
全部種類が違うからどれも重なることなくしっかりと見ることが出来た(除くICC)

実のところ練馬区立美術館の石田徹也展はやりきれない気持ちになるんじゃないかと心配していたのだが、同じ閉塞感と言っても種類が違ったので見終わったときには展示の重さにもかかわらずちょっとほっとしたし、

丸紅コレクションは予想外のものがよかったのがうれしかった。

このところ写真が続いていたし、来年の年初めにも友達と写真を見る予定(別に一緒に見るわけじゃなくて同じ日に同じところに行くだけだが・・・)もあるからちょっと食傷気味だったのだが、自然の花よりも造花、一井の人たちよりもタレントの写真がよかったのが面白かった。

ICCは体験型でそれなりに面白かったけれど、まだ見方が不十分だな。
もう一度は行かないと・・・

疲れた・・・

(一つ一つの感想はもうちょっとちゃんと書く予定・・・・予定だけだったりして・・・)

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2008.12.23

創造への道程

どちらかと言うと「どうしても見たい」というタイプの絵ではなかったのに、会期末になってどうしても見に行かずにいられなかった
「アンドリュー・ワイエス --創造への道程--」
Bunkamuraで2008年12月23日まで

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この「火打石」、たった一つの岩を描いただけなのにその歴史の重み、自然の孤独が見えてくるような気がするし、岩が向き合っている静けさ、厳しさが伝わってくる気がする。

「火打石」と言うタイトルがついているけれど、実際にはワイエスが岩の黒い色が火打石のようだと思ったことからそう呼んでいたということらしい。
岩の手前にはムール貝やかにやうにのからなどが転がっている。

人間からは孤高を保っているように見えても完全に離れることができないと言わんばかりだ。

具体的な何かを連想すると言うことはないけれど、これからいろいろなものに立ち向かっていかなければならない決意のようなものが感じられはしないだろうか。

そして、カニング・ロックスの厳しい表情・・・・
見ているだけでつらくなってくる・・・・
こちらを向いてないがゆえに厳しさが増しているような・・・

今回はどの絵を見ても喜びではなくて、さびしさと厳しさに満ちていたような気がする。

ワイエスの絵は必ずしもそうではなかったような気もするのだが・・・・どうなんだろう?

見終わった後、何よりも自然の中に入っていきたくなった。
人ごみの渋谷ではなく、木のたくさんある森の中で静かな時間を過ごしたくなった。

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2008.12.20

さすが若冲

陸の王者象と海の王者鯨の対決?
さすが若冲という絵が見つかった。

中日新聞:若冲の大作 北陸で発見 最晩年の『象鯨図屏風』:北陸発:北陸中日新聞から(CHUNICHI Web).

 江戸時代半ばに活躍した日本画家伊藤若冲(じゃくちゅう)の「象鯨図屏風(ぞうくじらずびょうぶ)」が、北陸地方の旧家から見つかった。若冲を代表する最晩年の大作とみられるが、これまで存在は研究者にも知られておらず、貴重な新発見となりそうだ。 

リンク先のページの写真が一番いいのでここにリンク。
こういうやんちゃな絵がCosは好きだったりする∥^O^∥

来年はMIHO MUSEUMかなぁ・・・

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山口薫展

どこで見たのかはもう覚えていないけれど、一枚の絵が印象に残っていた山口薫

独りの時間―山口薫詩画集 (求龍堂・画文集シリーズ)
(これは画集の表紙。amazonにリンクしています)
この絵の女性と椿を口にくわえた追い詰められた狂気と・・・・
彼女にはこうせざるを得ない必然があったのだ。

この必然を見たいがために行ったのかも知れない・・・
(人物画はあまり好きじゃないんだけど・・・)

山口薫展 -都市と田園のはざまで-
世田谷美術館 2008年12月23日まで

これは戦争中の作品だったから緊迫感があるのかもしれない。
その緊張感に共感を覚えるから好きなのかな。

彼の作品で好きなのはこの時代の具象から抽象へと移っていくあたりと
なくなる直前の死を意識した平和に満ちたファンタジーのような世界かな。
向こうで待っているのはこんな世界かもしれない・・
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おぼろ月に輪舞する子供達


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2008.12.18

玉虫厨子

国立科学博物館で「平成玉虫厨子」とその映画を見てきた。

asahi.com(朝日新聞社):「平成の玉虫厨子」国立科学博物館で公開 - 社会.

 東京・上野の国立科学博物館で13日朝、飛鳥時代の玉虫厨子(たまむしのずし)を現代の職人たちが再現した「平成の玉虫厨子」の組み立て作業が行われた。日本のモノづくりの原点を感じてもらおうと開かれる企画展示「蘇(よみがえ)る技と美 玉虫厨子」(13~21日)で公開される。制作を追ったドキュメンタリー映画の上映に合わせた展示。東日本での一般公開は初めて。

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虫好きのCosであるからかつて「法隆寺展」でみた玉虫厨子に玉虫の羽なんてほとんどなくて、がっかりした記憶があるのは当然と言えば当然だろう。(たぶんそのときに残っていた一枚を見た記憶も残っている気がする)

玉虫の羽を一面に貼り付けたらどんなになるだろう・・・

その夢をかなえたのが飛騨高山の中田金太。
高山の資産家が資材をなげうって、飛鳥時代に作られた玉虫厨子を復元したものを法隆寺に奉納し、同時に新たに平成の玉虫厨子を作らせたのだ。

その「平成の玉虫厨子」が国立科学博物館に来ているのだ(2008年12月21日まで)
そしてその制作のドキュメンタリー映画「蘇る玉虫厨子」を日本館の講堂で見てきたのだ。

(この日本館の講堂も「昔の博物館建築」と言う感じのつくりでとても面白かったのだが・・・)

なぜ東博ではなくて科博なのか、
作られたものを鑑賞するだけではなく、それにこめられた職人達の技の展示でもあるのだ。

今日見た映画はこの玉虫厨子を復元するに当たって、宮大工、蒔絵師、彫師、塗師と言った職人がそれぞれに工夫し、かつての技術者とこの厨子を通じて心を通わせながら制作したドキュメンタリー。

宮大工は屋根のカーブに苦労し、
蒔絵師は今は消えてしまっている絵の復元に苦労し、
彫師は屋根のかわらの表現に苦労し、
塗師は玉虫をどうやってつけるのかに苦労し・・・
そんな職人達の物語。

劣化してしまっていてもう見えなくなってしまった絵をじっと見つめることで見えてくる線を丹念にたどり、
どうしても分からないところは他の部分との調和を考えながら描いていたり
屋根の瓦を彫った上から漆を塗るときには線の細さ深さが塗り師にとって不可能にしか見えなかったり、
飛鳥時代と違って、思うようにつけられない玉虫の羽は2mmの短冊状にして貼り付けていくことになったり。

さらに平成の玉虫厨子では絵柄の中にも使われているのだが、そこでは2mm角に切ったものが使われている。
実物を見てもきったものを集めてあるとはとても見えないほどの細工の細かさ。
飾り金具の下にある羽はよく見えなかったりもするけれど、拡大してみてみると金具の中で羽が光っている。
よく見えない部分、人々が見ない部分までも丁寧に作られている。

現在の職人の持つ技術を集めた美術作品が出来上がったのだ。

映画を見なければきっと「きれいだなぁ」で終わってしまったのだろうけれど、映画の後で見た厨子からは職人達の心意気が伝わってきた。

そして宮大工の言った「飛鳥時代の玉虫厨子には遊びがあるけれど、これはあまりにきっちり出来てしまっている」という言葉が耳に残って離れない。

それにしても・・・今回、この厨子に使った残りの玉虫の羽で携帯ストラップとペンダントを作ったと言うのだが、携帯ストラップが3300円、ペンダントが5500円・・・・欲しかったなぁ
ちょっと手が出なかったのが残念・・・_| ̄|●


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2008.12.17

からすうりの明かり

暗い林にからすうりが下がっているとそこだからほのかな赤い光が出ているようにも見える。
そんなからすうりの明かりを買ってきた。
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植物の実などをランプにした金井一郎の「植物ランプ」
2008年12月21日までアスクエア神田ギャラリー

LEDのライトを使うことで温度が上がらないランプ。
からすうりだけじゃなく、ほおずきやハスの実や、いろいろな植物で作られたランプたちが暖かく光っている。

からすうりの明かりは宮沢賢治に出てきたのだろうか。
それともCosが勝手に描いているイメージなんだろうか。

夜、暗い森の中でからすうりの明かりがいつくしむように照らしている。
その明かりに惹かれて森の中へ入っていく・・・
そんな情景が思い浮かんで、

真っ暗な中でこのランプの光の中で音楽を聴きながら過ごす時間を夢見て買ってきてしまった。
少し飲みながら大切な人のことを考えながら・・・・

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今年はあまり時間が取れなかったので、これは以前撮った写真。
こんな風に暖かくやわらかく・・・
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せつない夜向けの植物ランプ


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沖縄・プリズム・・・・写真だ・・・

このところどうも写真づいている・・・・
写真はCosには難しくてよくわからない部分が多い。
素材のよさと技術のよさ、両方があいまってひとつの作品を作るのだろうけれど、その辺がよくわからない。
(まあ、自分の撮った写真の下手さ加減ぐらいは分かっているけれど・・・それだって実は分かってないのかも)
それにもかかわらずまた写真を見てきてしまった・・・ような気がする

沖縄・プリズム 1872-2008
国立近代美術館で2008年12月21日まで

かつては琉球国であり、戦後は長い間アメリカ軍の占領下にあった沖縄・・・・

これまでの「沖縄」展の多くが琉球王朝期の工芸を回顧するものであったのとは異なり、近代という時代のうねりの中で、この地から誕生した、そして現在生成しつつある造形芸術を検証する初めての試みです。表現する主体として、沖縄出身の作家と本土から沖縄に向かった作家を織り交ぜながら、「外からの視点」と「内側の視点」の違いを意識しつつ、個々の作家の想像力の軌跡を辿ります。

この外側からの視点と内側からの視点の違いを見たいと思っていってきたのだが、果たしてCosにその視点の違いが分かったんだろうか・・・

確かに写真にはその違いがはっきり表れているものもある。

頭にかごを載せたおばあさんが颯爽と石垣のある道を歩いていく岡本太郎の写真は外から「沖縄」という目で物事を見て取った写真(岡本太郎 《竹富島》 1959年)。
(もちろんタイトルがなければCosにはそれが分からないだろうけれど、「どこだろう?」と言う疑問が生まれる)

それに対して平良孝七のパイヌカジはどう見ても身内の人が撮った写真。
同じように沖縄の文化にかかわる写真を撮っていてもその写真の視点が対象となっている人やものに同化している。 
リンク先にある少女の写真はあまり「沖縄」を意識させないけれど、他の写真の中には中からでなければ取れないと思えるようなものもあった。

こうやって見ると写真と言うのはとった人の視点が分かりやすいのかもしれない。

もちろん、絵も異文化としての沖縄を描いたものはそれなりに分かる。
そうでないものは・・・・う~ん、どれがそうなのか?・・・わかるよう縄からないような・・・

が、問題は陶芸。
國吉清尚の作品がたくさん展示されていたけれど作品だけを見て外なのか内なのか・・・・
おそらく解説を聞かないとCosには判断がつかない。

沖縄と言う地は同じ日本の中でもちょっと違った場所という感じがしていたのだけれど、実はそんなに違わないのかもしれない。

沖縄と言うことを離れて面白かったのは山城知佳子や照屋勇賢かな。
オフィーリアのように水に没する写真を撮った山城千賀子、
不思議な作家としか言いようのない照屋勇賢・・・彼の作品はもっと見てみたい気がしたけれど、そのうち出会えるかなぁ・・・

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2008.12.15

大多喜城分館

千葉県立中央博物館大多喜分館と言うのが本来の名前の大多喜城。
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お城の天守閣を再建して博物館にしてある。

 本館は、城郭様式の建物で、「房総の城と城下町」をテーマに房総を中心とした中世から近世にかけての城郭やこれに関する武器・武具・調度・文書及びこれらを取り巻く人々の生活資料等を展示しています。
と言うことで中は一応こうした資料が展示してある。

「こんなものがありました」
「あんなものを使っていました」
とならべてある。

さすがにお城だけあって農業に関しての展示はなかったように思うけれど・・・

「どこそこになになにがありました」と言われるとどうも「ああそうですか」で終わりになってしまう気がする。
「へえ~、」と言う驚きや面白さがなかったのが残念。

今回は「武の美」と言うことでかぶとや鎧、馬に使う馬具や刀などの企画展が12月7日まで行われていたのを見に行ったのだが、これはそれなりに面白かった。

かぶとにつけた飾りは目立つためのものだったとかどんな飾りがあったとか・・・そういうところに視点を置いての展示はなかなかよかった。

今のイメージではちっとも強そうに見えないけれど「うさぎ」なんていうのもあって昔の人のものの見方が新鮮に見えたりもした。

常設展でもそういう視点があると面白いのになぁ・・・・


が、4階は一種の展望台になっていて山の上の一番高いところに立っている天守閣から四方八方を見ることが出来て面白かった。

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