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2008.11.03

聖と俗の狭間アネット・メサジェ

女性らしいかわいいぬいぐるみを使った展示・・・
と言うとまるっきり違う雰囲気を想像しがちだけれど、アネット・メサジェのぬいぐるみは切断された体だったり、機械仕掛けで床を引きずられる牛の死体だったり・・・

かわいいぬいぐるみも中の綿を抜かれ、その皮だけが、目の部分だけが壁にかけられていたりする・・・

ぱっと見るとおもちゃ箱をひっくり返したような陽気さに満ちているのに、じっくりと一つ一つのぬいぐるみを見ると不気味なのが怖い。

こわいけれど、目をそらしてはいけない怖さがそこにはある。

牛の死体のぬいぐるみをたくさん見たせいかもしれないけれど、肉を食べるのなら、動物の死体から目をそらしてはいけないように、
動物の死が肉となり人間達の生につながっていくのだから殺された牛に、豚に、鳥に感謝をもってその死を受け入れなければならないのと同じように・・・

会場の森美術館は54階にあってその中には一面が窓になっている展示室もある。
そこに展示されていたのは肉の冷蔵(あるいは冷凍)倉庫などにある天井からぶら下がっている肉が部屋の中をぐるぐる回転しているかのように、動物の死体(たぶん)、体の一部、内臓、手などのぬいぐるみが天井にめぐらせたレールの下をぶらさがって「ギーギー」いいながら部屋の中を回っている(上のYoutubeの最初の画像がそれ)。

その向こうには六本木からの平和な景色。

まるでその景色こそが幻想であるかのような錯覚さえ覚える。
その落差が今回一番印象に残ったのかもしれないし、風に揺れる真っ赤な布を使った「カジノ」(の一部)が一番印象に残ったのかは分からないけれど、好きとか嫌いと言った範疇を超えていたような気がする。

「カジノ」と言うのはピノキオのストーリーにインスパイアされた3部作。
今回の展示はその中のひとつ鯨のおなかの中のシーンらしいが、血にまみれた出産をも暗示しているのだったかもしれない。
大きな真っ赤な部屋いっぱいの巨大な布が風によって脈動し、布の下にあるもの形を浮き上がらせる。
下には海の中にあるもの・・・多分貝・・・の姿が見える。
13分間の作品なのだが、正面から一回、上から一回・・・見てしまった。
これは怖くなかったしとても面白かった。

好きなのか、嫌いなのかよくわからないけれど、
きっとまた見るチャンスがあったら見に行くんだろうなぁ・・・


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コメント

くわっ こんなにこわいインスタレーションだったのか!
先ほどPCで拝見して びっくりしました。いやあ 怖すぎる(笑)

これは…でも 見ちゃったら楽しいのかも知れませんね。何しろ あのぐらいの黒さが 男女問わず、
人間の心の中に 詰まっていることは、争えない事実です。

投稿: くわい | 2008.11.06 16:56

心の中の黒さ・・・確かにそうですね。
その部分が表に出ているから、怖いけども面白いのかも。

投稿: Cos | 2008.11.08 06:12

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