ザウリの白を見つめる
国立近代美術館で2008年8月3日までの「カルロ・ザウリ展」
陶芸には詳しくないので、「カルロ・ザウリ」の名前には惹かれていった美術展。「白」という言葉からは純白をイメージしていたのだが、ザウリの白は純白という意味の白ではなく、1200度という高温で焼くときに使う釉薬がザウリの白らしい。
作られた作品は真っ白なのではなく、白の中に色のある不思議な感覚。
初期の作品には「壺」とか「皿」とかといった名前がついているのだが、
「壺といえば壺だけどつぼとして使うわけじゃないよなぁ・・・」という感じの作品。
このころの作品はストーンウエアといわれるものらしい。これも高温で焼いている作品。
まだまだ具象の世界という感じかな。
そして「ザウリの白」
写真を見ただけでは陰影があることぐらいしかわからないけれど、実際にじっくりと見るとその表面のかたちにあわせて白い釉薬が白い色を放っている部分、ほとんど白が乗っていない部分があって深みのある白の世界になっている。
こればかりは写真で見てもその面白さは伝わってこない。
東山魁夷のときにも感じたことだけど、今回も会場の使い方のうまさが光っていた。
最初はごく普通の展示なのだけれど、大きな部屋に入ったとたんにまるで無造作に置かれたかのような作品がいくつか台の上に飾られている。
ほとんど床と同じ高さに置かれたもの、テーブルの高さに置かれたもの・・・
広い(すごく広いわけじゃないけれど)部屋にゆったりと飾られた作品はちょっと見たところきちんと飾ったというよりはどことなく雑然とした感じもしていたりするのだが、実は一つ一つの作品にあわせて高さを調節してある。
床に置かれた球体はどの角度からも見ることが出来るし・・・・
テーブルぐらいの高さの台の上におかれた白の中に赤が隠れている「形態のうねり」はCosのお気に入りの一品になった。
こうした作品を炉の中で焼いてそれを取り出すときがザウリにとっての最高の瞬間なんだろうな。
炉の中から出てきた作品と見つめあう・・・まるで恋人とのまなざしを交わすかのように・・・
絵や彫刻と違って焼いてみるまではどんな仕上がりになるのか、思い通りになっているのかどうかは分からないわけだし、出来上がった作品をはじめて見つめるときの一瞬・・・
それがどんなものであれ、その何物にも変えがたい瞬間・・・・
幸せな一瞬・・・・
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