ゴス展
「ゴス」といっても今流行のファッションとしてだけの「ゴス」ではなく、もともとはゴシック様式などのゴシックから生まれてきた言葉。
どちらかと言うとイメージとしてはいわゆるゴシック小説の持っているおどろおどろしたものを表現していると言う感じかな。
2008年3月26日まで横浜美術館で。
日本で「ゴス展」と言うだけあってゴスロリのかかわる展示もあったし、それはそれで面白かったけれど、なんといってもCosの一番の目的は束芋
この人の作品は巨大なスクリーンに何台ものプロジェクタを使って大きなひとつの映像を投影すると言う形がおおい。
今回は直径5mぐらい(かな?)の円形のスクリーンを天井から下げてそのスクリーンの中に入って上を見上げるかたち。
手の指が、足の指になり、無限に変形し続ける「ギニョる」
現実を離れて自分自身がどこか別のところに行ってしまったかのように感じる、その感覚が好きだ。
本人はそう感じていないのかもしれないけれど、ちょっとカフカの世界を具象化したような気がする。
(これはゴシック小説よりもずっと後の時代の小説だけど)
後の展示についてはゴスロリに関心がないのでほとんど期待しなかったんだけど、Dr.ラクラも面白かった。
古い肖像写真に手を入れて骸骨を書き込んだり、浮世絵に書き込んだり、昆虫を使って人の顔を表現したりの不気味さはジョージマクドナルドのリリス(今流行のエヴァのリリスじゃなくて、幻想文学。
古い図書室で本と本の間に挟まっていた一冊の薄い羊皮紙の本から始まるアダムの最初の妻にかかわる話。
あるいはC.S.ルイスの「沈別世界物語」の3部作の不気味さとも共通するものがある。
「イングリッド・ムワンギ・ロバート・ヒュッター」の映像。
立てられたスクリーンのほかに、床に敷き詰められた角砂糖に投影されている白い部屋の裸の赤ちゃん、ごくありふれたまだ動けない赤ちゃんが床の上にいるだけの映像なのだけれど、なんだかすごく不思議な印象があった。
立てられたスクリーンでは両側にそれぞれ異なった映像が投影されていて、それはそれで面白かったんだけど・・・
ゴスロリも(わざわざそのために横浜まで行こうとは思わないけれど)なかなか面白かった。
おそらくCosとは相容れない世界なんだろうけれど。
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