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2008.03.29

本来あるべきところで・・・東山魁夷

2008年3月29日から5月18日まで東京の国立近代美術館で行われている東山魁夷展。
この中で近代美術館がすごいと思ったのが、唐招提寺障壁画。
もともとふすまに書かれた絵だから展示するときにはそのふすまの部分を持ってきて展示する。

しかし、この絵は唐招提寺の置かれた部屋にあわせて描かれた絵なので本来持っている雰囲気とはかなり違ったのっぺりとしたもになりかねない。
Ph_09

以前、東京藝術大学で見た「金毘羅宮書院の美」もそのための工夫が随所になされていたけれど、その後四国の金刀比羅宮の本来の場所で見たものとはまるっきり違っていた。

そのときの印象は もういちど 書院の美.

応挙のトラのえも芸大で見たときと違ってホームグラウンドに帰ってきたかのような落ち着きとやさしさがって 「これが同じ絵なのか」と思うほど。

ちょうど芸大で展示にかかわった方がいらしていて、
「アクリルガラスで息が詰まっているかのように見えて、ガラスをはずしたとたんにトラがほっとしたように思えた」とのこと。

場所にあわせて作られたものはその場所においてみるのが一番だと言う言葉の通り、一つ一つの襖絵が本来の場所では描いた人の思い通りの効果を生み出している。

どうしてもどこかから持ってきて展示をするとなるとその雰囲気はすっかり変わってしまう。

襖絵は本来どっしりと落ち着いた広い畳の部屋に置かれて座った位置から見るものと思うのだが、なかなか美術館でその雰囲気を出すのは難しい。

Img_7797_3

今回の「東山魁夷展」ではその雰囲気を作り出すのに成功していたように思う。
といっても唐招提寺へ行ってみてきたわけではないから、本当に成功しているのかどうかはわからないけれど、帰りがけにスタッフの方に伺ったら「唐招提寺でよりずっといい展示になっていると思っています」おっしゃっていたほどだからスタッフの方たちも満足できるような展示だったのだろう。

この襖絵は2回に展示してあるのだが、階段を登って展示室に入るとまず気がつくのはそこの新しい畳のにおい。
このにおいであっという間に気持ちが「和室」になってしまう。

ひざぐらいの高さに畳があってその向こう側に絵があるのだが、さすがにたたみに座って鑑賞することは出来ないけれど、まるでお寺で絵を拝見しているような雰囲気がある。
ガラスもないから絵が生き生きとしている。

ひざぐらいの高さのところに台があってその上に畳がひかれその向こう側に「濤声」の一部が展示されている。
圧倒的な畳のにおいと絵に合わせて古びたイメージをかもし出している柱、
これはどれも近代美術館側で作ったのだという。

静かに、襖絵と対峙していろいろな思いをめぐらせることの出来た至福の時間。

写真を見てもわかるとおり、ここで静かに座って待っていれば、向こうから誰かがすっとふすまを開けてどなたかが出てきそうな雰囲気さえある。

その瞬間、それまで調和していた絵が二つに分かれて、そこから新しい時間が始まる・・・

そうした時間を想像することが不可能ではない展示になっていた。

Img_7792
これはその裏側に展示されていた「揚州薫風」

こっちでは全部に畳がひかれているのではなく一部が板の間になっていた。
本来そうなのか、それとも全部にはひかなかっただけなのかはわからないけれど、(ちょっとピンボケではあるけれど)会場の雰囲気は伝わるのではないだろうか。

手前の柵のところに立つと見えるのは畳と壁と柱と襖絵。
普通に見ているだけなら、柱ごと持ってきたのかと思えるほど。
おそらく寺にいてみるのと遜色ないものが見えているのではないだろうか。

今回、プレビューに参加させてもらって一番ありがたかったのはこうした写真・・・美術展の雰囲気を直接伝えることの出来る写真を取らせてもらえたことかもしれない。

Cosなどは文章が決してうまいわけではないからどれほど言葉を尽くしてもその場の雰囲気を伝えることは難しい。

でも、こうやってあれこれ書いて一番書きたいのは、写真では伝わってこない実際の雰囲気、場所の雰囲気のよさだったりする。

Cosは写真もへたくそだからこの写真で絵を見ないで欲しいけれど、その展示の雰囲気の一端が伝わればとてもうれしい。

そうしてこういう機会を作ってくださった方々に感謝m∥_ _∥m

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コメント

こんにちは。
先日は偶然にもお会いでき嬉しかったです。

襖絵のお写真よく撮れていますね!
大きな画像で堂々として立派です。

唐招提寺でもこんなにゆったりと
観られませんからね。贅沢な時間でした。

投稿: Tak | 2008.03.30 09:35

こちらこそいろいろとありがとうございましたm∥_ _∥m

帰りがけにスタッフの方が「唐招提寺で見るよりよく出来たと思っています」とおっしゃっていたけれど、本当にそうなんですね。

いつか、見に行って比較してみたいです。

投稿: Cos | 2008.03.30 20:48

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