ブレッシング ウォール
銀座のINAXギャラリーⅡで6月29日まで
塩保朋子展
ブレッシング ウォール
広くはないギャラリーに展示されていたのは畳3,4枚分もあろうかという一枚の切り絵。
部屋の中央を斜めに横切るように細かな切り絵の入った紙・・・トレーシングペーパーに壁からいくつかの光が当たっている。
確かに面白いけれどそれだけではそんなにたいしたことはないし、正直言って、切り絵としてもそんなに面白いものではなかった。
たった一枚の紙が展示されているだけのように思えたけれど、もしかしたら他のものがこの紙の裏側にあるかもしれないとぐるっと回って裏側を見てみたら・・・・
そこにはまったく違った世界が広がっていた。
壁の天井に取り付けられている光がトレーシングペーパー越しに届いている。
トレーシングペーパー越しの光は柔らかな灰色に、切り絵になっている部分の光は白くやさしく・・・
天井の壁に取り付けられているいくつものライトの光がそれぞれに干渉しあって、切られたとおりではなく、互いに重ね合わさって複雑な・・・ちょっと木漏れ日にも似たような白と灰色の世界を作り出していた。
切った紙を見るのではなく、この紙の作り出す光と影の世界・・・やさしい白と柔らかな灰色の世界・・・
一枚の紙の裏側に入り込むことでふしぎの世界の住人になれたかのような錯覚を覚える。
紙の向こう側を通る人の影もまた、輪郭のはっきりしない柔らかな黒になって、白と灰色と黒の世界を作り出す。
これもひとつの光と影の芸術。
そこにかなり長い間立っていたのだけれど、実際にはじゅうたんじきの床に座り込んでこの世界を堪能したかった。
できれば、拭いているか吹いていないかわからないぐらいの風が吹いて、白と灰色の世界が揺らめいたらもっと幻想的だっただろうなぁ・・・
もはや、もう一度行くチャンスがあるとは思えないけれど、もう一度行くことがあれば静かな音楽を聴きながらここで時を過ごしたい。
ギャラリーIでは
「小さな骨の動物園展」をやっている。
こちらも会場は広くないけれど、いろいろな身近な動物たちの骨が展示されている。
博物館の展示とは違って、どこか温かみのある展示で見ているだけでうれしくなる。
骨を展示してあるということはその骨になった動物たちの死とも向き合う事になるはずなのに、骨を取り出すためには毛皮をはいで、肉を落として脱脂して・・・という肯定が必要なのに骨格標本に対する慈しみが感じられる展示でとても面白かった。
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