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2005.11.24

ゲルハルト・リヒター展

 ちょっと見ると写真に見えるけれど、そばによってみるとそこにはまるっきり違った世界が広がっている。

そんな作家だと聞いてぜひ見てみたいと思ったのが、この「ゲルハルト・リヒター展

が、この美術展は東京じゃなくて千葉の佐倉にある川村記念美術館で開催されているのだ。川村記念美術館大日本インキの研究所のところにあって、自由に入れる散策路や運動広場があって、普通の人たちにも公開されていて、Cosのお気に入りのところ。
ただ、問題はCosのうちからは車で行くと少なくとも3時間、電車で行くと2時間半から3時間かかるという距離の遠さ。覚悟を決めないとなかなか行くことができない。

ところが、ひょんなことからチケットをいただいてしまった。しかも、ちょうど今佐倉市立美術館でやっている黒田重太郎展のチケットも一緒に。
こうなると何が何でも・・・というわけで23日に電車で行ってきた。

「絵画のかなたへ」というサブタイトルの通り、最初は入った途端に普通の写真が並んでいるだけのようにしか見えなかった。何の気なしに通り過ぎてしまいそうな写真が壁一面にかかっている。
ところが、そばに近寄っていくと写真で表現されていたはずの奥行きが次第に消えてのっぺりとし始めた印象を受ける。
さらに近寄っていくと写真のように見えたものが実は写真ではありえないような平面さだけではなく、色のつながり具合、線のつながり具合、絵の具でしか表せないものに変化していく。

楽しそうにモーターボートに乗っている人たちの写真と思えたものが、そばによって見ると「あちら側」からのメッセージのように見えてくるのだ。
読んではいないけれど、Cosが惹かれているタイトルのミステリーに「死者の代弁者」という本がある。この絵の不思議さに気がついた途端に、この「死者の代弁」という言葉が思い浮かんだほど怖かった。

写真に写し取られた生き生きとした人の姿が、生気を失い平面化していくのはすごく怖い。あちら側に呼ばれているような感じすらした・・・・

ゲルハルト・リヒターの作品はこうした写真のようなものばかりではなく、純粋な「アブストラクト」もある。そこにはそんなに怖いメッセージは感じなかったけれど、
中には「部分(赤ー青)」(部分と言っても2m×3mという大きな作品なのだが・・・)のように、そばで見るとインクが混ざり合っていく様子みたいな感じなのに、離れていくとそこには急に立体感が出て色の混じったものが浮き上がってくるように見える。
これは一番最初に遠くから見たときには立体的には見えなかったから、離れていくにつれて立体化してきたのだろう。
さすがにこれは怖くなかったし、とても面白かった。

そして極めつけは光の反射を芸術にした一連の作品。
美術館の壁の四角くくりぬかれたようなくぼみに置かれた金属の球。そこには壁と見ているCosの姿が映っている。ちょうど目の中を見ているかのようにもみえる。
理解不能だったのが、「鏡」と「ガラス」ただ、おいてあるだけ・・・という感じなのだが、そこには何かがあるのだろうと思う。
同じガラスでも「11枚のガラス板」はすごく面白かった。反射率の高いガラス板をちょっとずつはなして重ねておいてあるだけなんだけれど、反射率が高いから、11枚重ねるとむこうがわの壁はほとんど見えていない。そこには向こう側の壁や前を歩く人が映るのだが11枚の重なりの分だけ映し出された姿もずれる。見る位置が変わればずれ方も換わるし、自分自身ではなく、そこを見ているほかの人の像を見ているといくら見ても見飽きないほど。
最後にあったのは「直立する5枚のガラス板」・・・反射の不思議さ・・・・・周りをぐるぐると回ってどう見えるのかを確かめてしまった(^^;

最初の写真のような絵の怖さはなかったけれど、どの作品も自分が主体的に作品に参加して初めて完成される・・・正しくは見ている人にとって完成される・・・という感じ。
ただ見ているのでは伝わってこない、言葉にならないメッセージが自分が動くことで伝わってくる不思議な世界がそこにはあった。

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» 川村記念美術館の展覧会 [artime −全国アート展情報ブログ]
ゲルハルト・リヒター展 会期:2005年11月3日(木)〜2006年1月22日(日) 休館日:月曜日(1月2日・9日は開館、1月10日は休館)、12月26日〜1月1日 入館料:一般1300円、大高生1000円、中小生400円 開館時間:午前9時30分〜午後4時30分 場所:〒285-8505 佐倉市坂戸631 TEL:043-498-2131 ホームページ:http://www.dic.co.jp/museum/ 漂泊の天才ヴォルス:震える描線(終了) 会期:2005年9月... [続きを読む]

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