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2004.11.11

奉仕活動?

 東京都は何を考えているのだろう?

<都立高>奉仕活動を必修科目に 07年度から導入へ

 東京都教育庁は07年度から、都立高校全校に「奉仕」を必修科目として導入する方針を決めた。来年度は研究校を20校指定し、試験的にスタートさせる。就学も仕事も職業訓練もしない「ニート」と呼ばれる若者が増えているが、「社会と接し、自分の進路や生き方を見つける機会になれば」としている。同庁によると、都道府県レベルで奉仕活動を必修科目とするのは初めて。


(中略)


 「奉仕」は1単位(年35時間)で、うち10時間程度は座学。残りは福祉施設での生活支援、地域行事や児童、園児の野外活動の手伝い、森林の維持管理、河川、公園の清掃などを予定している。
 来年度から2年間、学識経験者によるカリキュラム開発委員会を設け、授業内容を決める方針。
 学校教育での奉仕活動をめぐっては、森喜朗首相当時の私的諮問機関「教育改革国民会議」で義務化が検討されたが、「自発的でないと意味がない」との批判が相次ぎ、見送った経緯がある。

もちろん、ボランティア自体にはまったく問題はないし、生徒たちが自発的にボランティアをするのであれば、その分の単位を認定することもとてもいいことだと思う。(実際には単位の認定の仕方にいろいろな問題はでてきそうだけど)


 この年間の35時間はどこに組み込まれるのだろう?
現行の指導要領では数学の必修の最低単位数は実際にどの程度の学校が扱っているのかわからないけれど、「数学基礎」の2単位。
奉仕活動の2倍でしかない。
といっても、普通の高校ではここまで少ないところはまずない。
実際にはどんなに少なくても「数学I」の3単位はとるはず。
(ちなみに体育は保健と合わせて、9~10単位が必修)


座学が10時間で実習が25時間というのはいつやるのだろう?
なにしろ、生徒によって実習の時期がまちまちでは他の勉強ができなくなるから、
いっせいに時間が取れる長期休暇中ということになるのだろうか?
そういうときに生徒が熱心に取り組むだろうか?

もちろんそのための教員は配置されるのだろうけれど、
一箇所で全員の受け入れが可能だとはとても思えないから、
何箇所にもなり、その上時期もずれるだろうから、その調整もかなり大変だろう。
担当の教員だけで済む仕事ではない気がする。
何かトラブルがあれば、担任が出ただけではすまないだろう。

というのが学校側から見たときに感じること。

が、実際にはそれどころではない問題がある。
都立高校の生徒というのは世間ではどういう風に捕らえているのだろうか?
一生懸命に勉強をしているまじめな生徒の行くところと考えてはいないだろうか。

もちろんそういう学校も少なくないけれど、
東京都の場合にはたとえば、教員が校内のタバコの吸殻を拾って歩くような学校も少なくない。
校内での麻薬の売買がニュースになったことも覚えているだろう。
教科指導よりも生活指導を行わないと、授業自体も成立しないようなところもある。

もちろんそういう学校にもまじめな生徒は少なくないのかもしれないけれど、
「必修」ということになるとどんな生徒でも奉仕活動を行わなくてはならないのだ。
それがどこであれ、受け入れ先ではどれほど大変なことか。

これがアルバイトなら、どんな生徒でも、
「お金をもらうのだから」という自覚があるだろうけれど、
いやおうなしにやらされる必修教科となるとどういう態度を取るのか
目に見えるような気がする。
受け入れ先では一度で懲りるところも少なくないだろう。

生徒も「必修だから」いやいやながらやってくるし、
受け入れ先では何もわかってない上にやる気もない生徒を預かって
もてあますことが目に見えている。
(もちろん、そうならない生徒のほうが多いのかもしれないし、
たとえ義務であっても喜んでやる生徒もいるだろう。

だが、そうでない生徒も少なくないのは目に見えている。

そこを指導するのが教員の力とでもいいたいのだろうけれど、
できる学校とできない学校があるのはわかっているのだろうか?


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コメント

これ、大丈夫?
「ガ島通信」って、ブログ知ってます?
今、新潟で取材している記者さんですけど、阪神のときは自分が被災者で「ボランティアが足かせになることもある」って書いてますよ。
http://blog.livedoor.jp/zentoku2246/archives/8991211.html
うーん、どういう所で実習するんだろう…
非戦闘地域で安全だから人道支援として派遣したという、ああいうところ?

投稿: わに庭 | 2004.11.12 19:32

大丈夫などとはとてもいえないでしょう・・・

もちろん生徒によっては大丈夫だし、熱心に取り組む生徒がいることもよくわかっています。

「 「奉仕」は1単位(年35時間)で、うち10時間程度は座学。残りは福祉施設での生活支援、地域行事や児童、園児の野外活動の手伝い、森林の維持管理、河川、公園の清掃などを予定している。」

森林の維持管理や、河川、公園の清掃などは人が相手じゃないからいいかもしれませんね。

が、(自発的な)ボランティアを受け入れている福祉施設でのそうした生徒たちに対する見方や
わに庭さんからご紹介のあった、「ガ島通信」に書かれているような過剰ボランティアならまだましで、そこにいる人たち、福祉施設や児童、園児などのためには迷惑でしかないボランティア・・・いや、奉仕活動・・・になりかねないということもありそうです。

投稿: Cos | 2004.11.12 22:09

その真っ先に受け入れ施設になりそうな保育園勤務のぴかです。
現在も、中学生や小学生の体験学習や生涯教育で
強制交流があるってかんじが現状です。
最初はトライやるウイークのように、やる気のある子が来る、
この仕事に関心がありやろうとする子が希望してくるだったのに
最近は、「児童福祉施設、障害者福祉施設、高齢者福祉施設の
3つから選択しなさい」打ち合わせはあっても反省会もなし
ついてくる教員は子どもの様子を見ることよりも
ビデオや写真を残すのに精一杯。
保育園の子どもたちの生活リズムや食事の時間、日ごろの保育
子どもたちの姿そのものをゆがめてまで、自分たちの課題を
やらせようとしている場合すらあります。

いまどきの子どもたちなので、子どもとふれあい遊びをと
思って、なべなべ底抜けなどやろうとしても手を繋ぎません。
言ってもやりません、よだれが汚いから(もちろん出てない)
繋ぎたくないとはっきりいう子もいますし、一緒に座ってね
と声をかけても3階言わないと横に来てくれない子もいます。
あまり大きな声ではいえないけど力加減がわからず、
遊んでくれていたときに怪我をさせてしまい、
病院へ走ったこともあります。

小さい子とふれあう機会がないからこそ、いろんな機会をと
思うけれど、一緒に来る教員の態度にもかなり問題の場合もあり
その場限り、小さいから解らないだろう、という態度がありあり
の人に出会うと、がっくりきます。
本当の連携をとは思うけど、正直しんどいなぁって思う。
保育園は期待の場所だけど、国からの補助金も今年からカットされ
三位一体なんて言葉ばかりで、民営化しろと企業に任せろ
子どもの生活や心の問題などどうでもいいって感じの
小泉政権の態度に就学前保育は風前の灯です。
なのに、こういうときだけ便利屋のように利用される。
未来が大事だからこそ、がんばって受け入れていますが
お手軽に思わず、子どもたちや保護者の生活を保障したり
心身の発達や低年齢からの仲間作りに真剣に向き合ってる
私達と共に真剣本気で取り組んでほしいと願います。

は~、ほんと、便利屋じゃないぞぉ・・・

投稿: ぴか | 2004.11.13 08:48

小学生中学生の姿を書くのを忘れていました。

教員はそうであれ、初日はなんじゃこれ?!と
頭をだかえる状態ではあっても、
その子たちなりに一生懸命だったり
嫌がってた子達も、何かを感じて帰ってくれています。

3種類の福祉施設から強制的に消去法で選んできた子も
ふけば飛ぶような、家に帰ればすっかり忘れてるような
消えそうな霞のようなやる気だけど、2日目や4日目など
最終日につめの先ほどのかけらが感じられることもあります。
そういう時は、ああ、きてもらってよかったなと思います。

うちの子ども達の方は、つっけんどんにされて悲しかったり
怪我をしてびっくりしたりはあるけれど、それでもやっぱり
大きなお兄ちゃんお姉ちゃんが大好きで、自分からよっていきます。
そういう姿にかたくなだった彼らも、何もしていない筈の
場合によれば拒絶すらしてる自分なのに、丸ごとの自分を
すんなり受け入れてくれる小さい子たちの姿に
少しずつほぐれていくようです。

ほぐれて自分から関わろうとするのに、泣いて拒絶されたり
あのお兄ちゃんのほうがいいなどと、自分を選んでもらえず
がっくり着てる場合もあるんで、面白いです。

お箸や着替えなど、1歳2歳の小さい子が自分で自分のことを
していたりするのにも、驚く姿もあります。

意味はあるとは思うけど、やっぱ、大人がわからしたら
しんど~(^^;ってのが本音ですね(笑)
やってかないと、もっとしんどい世の中になる、それが嫌だから
がんばろうって感じかもしれないです。


投稿: ぴか | 2004.11.13 08:57

難しいところですね。
たとえ、関心はなくとも入っていくことによって大きい子どもも小さい子どもも得るところが大きいなら、いいのかもしれないですね。

ただし、受け入れ側が「しんどい」と思うようであれば、そういう試みは長続きできないとも思うけど。

投稿: Cos | 2004.11.13 23:34

児童生徒のしんどさは仕方のないしんどさだと思ってるよ(笑)
保育実習生だって、ものすごいのが来るし(^^;
うちは養成学校じゃない!!!と怒りたくなるもの。

結局は連携だとおもう。
よく体験学習で話題になるのは、子どもたちとふれあう体験か
職業的な保育の仕事ってなに?とか社会に出るとは?まで
ねらいに入れるのかってあたりなんだな。
それがあやふやなんで、こっちもどこまで体験してもらうか
迷うところ。学校側事態が手探りだから仕方ないんだけどね。
毎年小中学生がくるけど、毎年教員がゆれてるもの(笑)

やってくうちに、そのうちお互い慣れてくると思う。
小学校以上の先生にとっても(独身も多いし)良いみたい。
保育園に来たことない、低年齢の子どもたちを知らない世代が
増えている。子どもの発達を知らない人も多い。
どういう風に大きくなるか、保育園が何をしているのか
それを知ってもらうのはとてもいい機会だと思う。

本音を言えば、私達保育園児ももっと学校に気軽に行きたい。
学校以外のいろんな場所に逆に訪問したいなぁって思う。
行事が増えるのは嫌なんだけど、気軽に散歩途中に寄る気分で
「ここ、この間来てくれたお兄ちゃんたちの学校よ、
 見せてもらいに行こうか?(*^^*)」
なんて風にね。道路で、音楽室から流れる合奏曲の練習を聴いて
「すごいねぇ~」「かっこいいねぇ」なんて言ってる2歳の姿を
見てると、音楽室でそれを見学だけでも憧れや尊敬など
また逆に見られてると張り切ってたりね。。。。
うちのこらは見学の探検気分で十分だとおもうんだなぁ。

なんにせよ、普段の交流や大人の意識改革が大事だとおもうよ。
どこも敷居が高いし、頭が固いもの(笑)

私も人のこと、いえないか(^^;だははははは


投稿: ぴか | 2004.11.14 07:40

お互いの交流という点では、もっともっとそういう機会がたくさんあるといいなぁと思う。

特に今は子どもの数が減っているから、大きい子どもは小さい子どもがわからないし、小さい子どもは大きい子どもがわからないもの。

園でお世話をさせてもらった子どもと外であったり、幼児が学校見学をしたりって、すごくいいと思う。

保育園とか幼稚園に限らず、いろいろなところの人と交流が持てるといいけれど、
それが、必修としての奉仕活動ということになると???だな

投稿: Cos | 2004.11.16 07:05

ぴかさんも少し書かれていますように、ご存じの中学生が起こした大きな事件以降、神戸で始められた公立中学校でトライやるウイークと称して、毎年1週間ほど毎日学校に行かずに、地域のボランティア活動に参加させるというのが、現在もずっと続けられています。(当初は10年という期限付きだったそうですが)
保育園、スーパー、農家、商店など、さまざまな分野で活動しています。
一見良いことのように思われますが、子供達を受け入れてくれるところを探すのに、教師がかなり苦労しているようです。
積極的に取り組み、成果をあげる生徒も多くいるのですが、そうでない生徒達もいて、時間を守らない、やる気がない、忙しい時間にかえって邪魔になる・・・などの理由で、引き受けたところからの苦情も後が絶えないそうです。
難しいですね。

投稿: (^o^)丿mee | 2004.11.17 08:01

>(^o^)丿mee さん こんにちは。

>保育園、スーパー、農家、商店など、さまざまな分野で活動しています。
>一見良いことのように思われますが、子供達を受け入れてくれるところを探すのに、教師がかなり苦労しているようです。

これって、結局は「子どもの将来のためだから協力しよう」というところを見つけるのが難しいということになるんじゃないかと思いますが、
さらに繰り返し何度も受け入れようとするところは必ずしも多くないと思っていいのかな?

実のところ、どの企業も生徒が「奉仕活動」あるいは「ボランティア」としてやってくることについて、役に立っているという認識をしているところは少ないのかもしれません。

もしそうだとすると、「奉仕」にも「ボランティア」にもなってないわけで・・・・
少なくとも今の景気の悪さから、労働条件としてはかなり厳しいものがある上にそうした生徒を受け入れる余力のあるところというのは本当に限られたところになるか、現場の職員の仕事を増やすことで成り立っているのかもしれません。


投稿: Cos | 2004.11.17 22:50

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